2015年12月07日

オイコノミア|旅の経済学

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オイコノミア|旅の経済学


モノより思い出!?

経済学では、旅行には耐久性があるといいます。経済学用語の耐久消費財とは、1年以上継続的に使われる比較的高価な消費財のことをいい、家電製品、楽器、自動車などの他、旅行があてはまります。旅が耐久消費財である理由は、長い間、思い出として反すうできることにあります。ときに旅では、トラブルさえもよい思い出になることがあります。

たとえば、よいソファーを買って大切にメンテナンスをしても、時の経過とともにソファーは劣化しますが、旅行の思い出は、色あせることもなく、時代遅れにもならないのです。

旅の楽しみ方@
現地の情報収集

いくら事前に下調べをしても、結局、旅行は行ってみないとわからないという性質があります。経済学では、体験するまで分からない商品やサービスのことを”経験財”といいます

ところがいまクチコミサイトによって、他人の口コミも数が増えることで客観的な評価としての信頼性が高まった結果、旅は経験財から事前に調べればわかる”探索財”へと変化しつつあります。

経験財
体験するまで分からない商品やサービス
例:映画やスポーツジム、化粧品など

探索財
事前に調べればわかる
例:家電製品や自動車など

信頼財
体験したあとでも質がわかりにくい
例:医療や法律サービス

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旅の楽しみ方A|誰と一緒にいくのか

旅はひとりで行くよりも複数で行くことにメリットがあります。それは1+1が2以上になる可能性があるからです。経済学でいう”補完性”は、組み合わせると不足を補い合える性質があることをいいます

旅行プランを立てる人、プランに合わせて手配をする人、会計を担当する人など自分が得意なことを提供して、苦手なことを得意な人にかわってもらうことができるのです。

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旅の楽しみ方B|予定は立てるか否か

旅の予定を立てるか否かは、リスクに対する態度として理解することができます。経済学でいうリスクとは、危険ではなく、結果にばらつきがあるものを経済学ではリスクと考えます。つまり、予測がしにくいことをリスクがあるというのです

箱根の下記観光スポットではリスクが大きいのはどこでしょうか?一番リスクが大きいのは2,駅伝難所コースです。天気が良ければ最高ですが、雨の場合は最悪です。次は1,屋外美術館です。たとえ天気が悪くともそこそこに楽しむことができます。リスクが一番小さいのは、3,駅前商店街です。天気はまったく関係がないからです。

箱根観光スポット
1.屋外美術館
2,駅伝難所コース
3,駅前商店街


ピーク・エンドの法則

ノーベル経済学者ダニエル・カーネマンの研究であるピーク・エンドの法則は、あらゆる喜びや苦しみの経験は「ピーク時」と「終了時」で判断され、その他のことは影響が少ないという理論です。つまり、満足度はもっとも印象深い経験と最後の経験によって決まる傾向があるのです。ひとことで言えば”終わりよければすべてよし”といったところです。

たとえば、食事のときに好きなものを最初に食べるか、最後に食べるのかでは、最後に好きなものを食べた方が、満足度が高くなるというものです。

旅行でいえば、同じ観光スポットを巡るとしても、その順番によって満足度が変わってくるのでしょう!


posted by CYL at 23:50 | オイコノミア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2015年11月30日

オイコノミア|ロボットと人の経済学

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オイコノミア|ロボットと人の経済学



テクノロジーの進歩が私たちの生活にどんな影響を与えるのか、それを経済学の視点からみていきます。

コンピュータテクノロジーの特徴
1、進歩がスピードが速い
2、汎用目的技術


コンピュータテクノロジーは、あらゆる産業に影響を及ぼし新たな発明を連鎖的に生み出す技術(汎用目的技術)であり、経済を牽引する可能性があります。

実際に、農業分野では、肥料の供給をコンピュータで管理し生産性を高めていますし、教育分野ではコンピュータを使い、わかりやすく生徒が興味を抱く授業が行われ、医療分野では、ロボットによる外科手術が実用化されれば、遠隔操作で手術ができる時代がやってくるのです。

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テクノロジーの進化による
デメリット|失業の可能性

19世紀初頭の産業革命において機械に職を奪われ失業することを恐れたイギリスの職人や労働者が機械を破壊したラッダイト運動というものがあります。テクノロジーの進化によってこれまで人が行っていた職業が、ロボットなどに取って代わられる可能性があり、一時的に失業や貧困の問題が表面化する可能性があります。

メリット|労働人口問題解決の鍵
先進国の間で問題になっている少子高齢化は、労働人口の減少という問題につながります。つまり、働き手がいなくなってしまうのです。日本でも移民を受け入れて減少する労働人口を補うべきか否かという議論が最近多く耳にするようになりました。そんな労働人口減少問題の解決策の一つとしてロボットに期待が集まっています。

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経済学は、みんながどうしたら幸せになるのかを考える学問です。つまり、テクノロジーの進化によって人々が幸せになるための仕組みづくりには、経済学が果たすべき役割は大きいのです。

posted by CYL at 23:22 | オイコノミア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2015年11月23日

オイコノミア|寄付の経済学

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オイコノミア|寄付の経済学



アメリカ人1世帯当たりの平均年間寄付額は約26万円。一方で日本人1世帯当たりの年間平均寄付額約2400円とまだまだ日本人にはなじみの薄い「寄付」について経済学から考えてみましょう!!


寄付は誰のため
消費と寄付の一番の違いは何でしょう?私たちが日頃行っている経済活動の消費は、モノ・サービスを受けるのは自分ですが、寄付は他人だということです。つまり、寄付とは相手に見返りを求めずに金銭を渡す、またはボランティアをすることを意味します。

寄付をすると幸せになる
それでは寄付のメリットは一体何でしょう?カナダで行われた実験をご紹介します。被験者に現在の幸福度をきいて5ドルを渡します。一方の被験者には自分のために使ってくださいと指示します。

もう一方の被験者グループには、他人への贈り物を買うかチャリティーに寄付するなど他人のために使ってくださいと指示ます。ふたつのグループに再び幸福度を尋ねると他人のためにお金を使った人の方が幸福度が高かったのです。つまり、寄付にはひとの幸福度を上げる力があるようです。

ひとはたくさんのお金を稼ぐと幸せになれると考えますが、ノーベル経済学賞受賞者ダニエル・カーネマンは年収750万円を超えるとそれ稼いでもあまり幸福度が上がらないという説を唱えています。

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寄付して得すること
認定された寄付団体などに寄付をすると所得税が最大40%控除となります。つまり、寄付をするということは、国への支払いを減らして寄付団体への支払いを増やすことになるのです。

年収500万円(夫婦共働き子ども2人)の場合
寄付額1万円(減税額3,200円)
寄付額5万円(減税額19,800円)
寄付額10万円(減税額39,200円)

ボランティアと報酬の関係
ボランティアと報酬の関係についておもしろい実験をご紹介します。学生ボランティア180名を下記の3つのグループに分けます。どのグループが一番多く寄付を集めることができるかを実験しました。果たして結果はいかに?!

1,集めた金額1%がもらえる
2,集めた金額10%がもらえる
3,報酬なしで寄付を集める

もっとも寄付金を集めたグループは、3の報酬なしで寄付を集めたグループでした。理由はもともとボランティア志望で集まった学生というのがミソです。報酬をもらえるということでボランティアではなくなってしまう1と2のグループの学生は報酬の程度のあわせて働くことに結果になってしまうのです。



posted by CYL at 23:07 | オイコノミア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2015年11月09日

オイコノミア|相続の経済学

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オイコノミア|相続の経済学


お金持ちだけの問題じゃない!
相続問題で裁判になるケースは年間17万件とここ10年でその数は2倍となっています。また、裁判になったケースの約30%は遺産額が1000万円以下(家や土地、現金など)のケースで争われています。決してお金持ちだけの問題というわけではなさそうです。

相続は複雑なり
遺産をホールケーキに見立て、母と姉と弟の3人が分け合うとします。民法の法定相続分では、母が2分の1,姉が4分の1、弟も4分の1というのが基本的な分け方となります。

ところがもしケーキの上にイチゴや砂糖のお菓子など色々なものが乗っていたらどうでしょうか。状況はがらりと変化し、ケーキの大きさだけでは比べることができなくなってしまいます。

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ケーキ分割問題
経済学では昔から皆が納得を行く形で資源を分けることを議論してきました。その基本はケーキでいえば、切る人と選ぶ人を別にすることです。

ケーキを切る人が相手が望むことをよく知っていれば、相手の望むものを譲って、自分の取り分を増やすことができるのです。結果として、お互いが満足できる分け方が可能なのです。

大切なことは、相手がどんなものを望んでいるのかをきちんと把握することです。そのために、実際の相続では”話し合い”がお互いが納得できるための肝となりそうです。

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限られた資源を分ける最善策
限られた資源を誰にどのように分け与えることが最善かという問題は経済学で昔から議論されてきました。代表的な二人の経済学者の考え方を見てみましょう。

ジェレミ・ベンサム
「最大多数の最大幸福」を唱え、格差があっても社会全体の利益を優先することが重要。

ジョン・ロールズ
「正義論」を唱え、最も不遇な人々の状況改善を優先することが重要。

二人の考え方を見ると、経済活動が活発な社会かまたは格差のない社会が良いのか、社会のあり方について考えさせられます。



posted by CYL at 23:27 | オイコノミア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2015年11月02日

オイコノミア |アートの経済学

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オイコノミア |アートの経済学


アート作品の価値を推し量るのはとても難しいことです。なぜなら値札の「価格」と自分にとっての「価値」は同じではないからです。

価格と価値
経済学用語の「支払意思額」とは、買い手が最大限いくらまで支払ってもよいと考える金額のことを言います。

たとえば30万円の絵に対して、支払意思額が価格を上回っていれば購入し、下回っていれば購入しないということになります。つまり、価値とは自分の中にあるものなのです。

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作り手と買い手は、納得する価格で取引が成立するとお互いがうれしい訳ですが、これを経済学用語で「余剰」と言います。

余剰とは?
たとえば絵を描いた画家が自分の作品を20万円で売りたいと考えます。作品が30万円で売れた場合、画家は10万円の満足を得ることになります。これを生産者余剰といいます。

一方で買い手は40万円で画家の絵が買えたらよいと考えていましたが、実際には30万円で絵を購入できたので、10万円分の満足を得ます。これを消費者余剰といいます。

両者あわせて世の中に20万円分の余剰が生まれたと考えるのです。経済学の基本は”みんなが幸せ”になること、つまり、みんなが取引を通じて余剰を享受することなのです。

ご参考
アート(写真)の価格の決まり方
1、作品の大きさ
2、アーティストの知名度
3、作品の希少性

posted by CYL at 23:37 | オイコノミア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする