2016年12月15日

オイコノミア|落語の経済学

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オイコノミア|落語の経済学



落語「千両みかん」の経済学
落語の演目「千両みかん」から経済学が見えてきます。果たしてそれは一体どんなことでしょうか、探して見ましょう。

千両みかんとはこんなお話。
8月にみかんを食べたいと病に臥せった若旦那が言った。その父は息子のためを思い番頭さんにみかんを探すように頼んだ。ところがみかんは冬の果物だけに江戸中の八百屋をまわった番頭さんでしたが、みかんを見つけることができませんでした。

みかん問屋を訪れた番頭さん。みかんはあるがそのお値段は、、、なんと千両だというではありませんか。若旦那の願いを叶えるためには千両でも安いと若旦那の父は番頭さんに購入するように命じました。若旦那はみかんを美味しそうに食べ、残り3房を父、母に分けて、最後の一房は番頭さんへとみかんを手渡しました。みかん1つで千両ということは1房100文と考えた番頭さんはそのまま姿をくらませてしまったというお話です。

この千両みかんのお話を経済学の視点から見てみると2つの経済学用語が浮かび上がります。それは次の2つです。

1、使用価値
あるモノが「使う人にとって」どのくらい価値があるのか。
例:若旦那とそのお父さんには、みかんは千両の価値があった

2、交換価値
市場でほかの商品と交換できる客観的な価値
みかんには千両の交換価値はない
つまり、使用価値と交換価値はイコールではない。


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落語「花見酒」の経済学
花見酒はこんな話です。
兄貴分と弟分の二人が花見の季節に酒を売ってひと儲けしようと考えました。二人は酒屋で2升のお酒を後払いで購入しました。酒を運ぶ途中で兄貴分は我慢できずに弟分に10文を払って一杯飲んでしまった。弟分はお金を払ってもらったので文句はありません。少しすると今度は弟分がお酒を飲みたくなってしまった。弟分は先ほど兄貴分からもらった10文を兄貴分に払って一杯飲んだ。お互いに10文をやり取りしながら続けていくうちにお酒は空になってしまいました。

この話から見えてくる経済学は
「共有地の悲劇」です。

共有地の悲劇とは
何人かで共有する資源をそれぞれが自由に使えると乱用して悪い結果になってしまう。
例:牧草地→牧草は食べ尽くされてしまう
うなぎ →取り放題→絶滅

ひとりが所有していれば大切に使うことになるが、共有地の悲劇は、”みんなのものは誰のものでもない”ということです。税金は共有地の悲劇の一例かも知れません。


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落語界の仕組みを
経済学で考える


入門(弟子入り)しないとプロの落語家になれないのが落語の世界です。落語の世界には独特の階級があります。見習い→前座→二ツ目→真打ちという4段階の階級です。この階級は年功序列で約15年で真打ちに昇格するといいます。

落語界が徒弟制度になっているのには訳があります。経済用語の人的資本(人間が身につけている知識や技能を資本とみなすこと)は、さらに二つに分類することができます。一般的人的資本と特殊的人的資本です。落語は特殊的人的資源にあたり、教科書などに記述するのが難しいため、徒弟制度が今も続いているのです。

一般的人的資本
読み書き、計算、外国語など応用範囲の広い能力

特殊的人的資本
一部の専門的な職種でのみ力を発揮できる能力。
教科書などに記述するのが難しく徒弟制度が効果的だとされる。










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2016年09月22日

オイコノミア|結婚の経済学

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オイコノミア|結婚の経済学




今結婚をしない若者が増えています。2035年の生涯未婚率の推定では男性は29%、女性19%が生涯一度も結婚をしないという予測があります。


なぜ未婚化、非婚化が進んでいるのか?
街で独身の人に結婚をしない理由について尋ねると様々な答えが返ってきます。その中で気になるのが、「独身の方が楽しい」「結婚したら自分の時間がなくなる」といった回答です。

これらの回答は経済学でいうところのプロジェクション・バイアスがかかっています。

プロジェクション・バイアス
今の現在の状況を過度に未来に投影してしまい正しく予測することができないという心の偏り

例えば、お腹がいっぱいの状態で夕食の買い物をすると、夜は控えめで良いと考え、食材も少なめに買います。逆にお腹が空いた状態で買い物をした場合は、夕食はたくさん食べようと考え、多めに食材を買ってしまいます。

ところが時間が経過し、いざ夕食になった時、買い物の時にいっぱいだったお腹も空いていますし、空いていたお腹も落ち着いてしまった結果、夕食の量が少なかったり、逆に多すぎたりといった結果になってしまうのです。

つまり、現在の状況(お腹がいっぱい、お腹が空いている)を過度に未来に投影してしまい正しく予測することができないのです。

今の独身生活が楽しいからといって将来の独身生活も楽しいとは限らないのです。


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出会いが多いと結婚が遅れる?
経済学では出会いが多いほど結婚が遅れる可能性が高いと言われています。チャンスが多いほど期待が大きくなり、数が多いほど妥協せずに探し続け、その結果、相手に求める基準も高くなるからです。

留保水準(OKライン)
取引の際にこの値段だったら売らない、このぐらいの品質だったら買わないというように取引をとどめる水準のこと


どうすればベストパートナーをみつけられる?
例えば、あなたが会社の社長さんで10人の候補者から秘書を採用するとしましょう。ただし、面接をした直後に採用不採用の決断をしなければなりません。優秀な人材を確保するためにはどうしたらよいでしょうか?

まず1人目がもっとの優秀な可能性は10%です。そして一人目の採用を見送って一人目よりも優秀な人が出た時点で採用した場合、その人が最も優秀である可能性は28%です。同様に計算を続けていくと3.7人を見送って、その後に現れた優秀な人を採用するのがベストであることがわかっています。


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当たり前は変化する
行動経済成長期、バブル崩壊後では家庭の在り方、男女の働き方に変化が生まれています。ところが従来の専業主婦家庭に育った若者が社会構造が変わったのにもかかわらず従来と同じ父親像と母親像を求めてしまう(求められてしまう)ことがあります。

例えば、男は一家の大黒柱として家計を支えるといった考えです。非正規の人や病気の人、親の介護を行っている人などは、家計を支えるという概念から外れてしまうため結婚ができないのです。

これらは経済学でいう「選好の内生性」が影響をしています。選好の内生性とは、人の好みは経験や環境によって形成されるということです。


posted by CYL at 00:21 | オイコノミア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2016年09月20日

オイコノミア|美味しさ倍増の経済学

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オイコノミア|美味しさ倍増の経済学



価格が高いと美味しいのか?
経済学では基本的に価格と自分にとっての価値は切り離されているものと考えます。ピカソの絵が数百億円で取引されていますが興味がない人にとってそれほどの価値はありません。

しかし、価格が高いと価値があると思ってしまうことも実際にあります。経済学でいう認知的不協和が関係しています。

認知的不協和
矛盾する二つの認知を抱えた不快な状態のこと

例えば高級料理店で高い料理を食べたがそれほど美味しくなかったという状況があったとします。人はこのような矛盾が生じた場合、変えられる方を変えてしまうのです。

ちょっと変わった味だったけれどこれが最先端の味なのかもしれないなどと理由をつけることで矛盾した状況の辻褄あわせを行うのです。つまり、高いから美味しいと自分を納得させることで認知的不協和を脱しようとします。

また、価格が高いと皆が価値を見出し買ってしまうものがあります。これは見せびらかすための消費でウェブレン財と言います。例えば高級料理店などでの食事です。

ウェブレン財
自分の経済力を誇示するために消費する贅沢品のこと


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美味しいものは食べすぎる?
深夜にラーメンを食べたり、お酒を浴びるほど飲んでしまったり、はたから見たら愚かとしか思えない行動を時にしてしまうことがありますが、そんな愚行をする権利というのでしょうか、経済学では愚行権と言います。

愚行権
他人から愚かだと判断される行為でも自分が満足であれば自由を行使できる権利

これまで愚かな行為の自由と規制の線引きに人間の社会は苦しんできました。経済学には、直接的な規制をせず選択の自由を残したまま人々を望ましい方向へと誘導する「リバタリアン・パターナリズム」と呼ばれる考え方があります。

リバタリアン・パターナリズム
直接的な規制をせず選択の自由を残したまま人々を望ましい方向へと誘導する考え方


行動経済学のリチャード・セイラーは、行動経済学において人を望ましい方向へ促すリバタリアン・パターナリズムの手法の一つ、NUDGE(ナッジ)を提唱しました。NUDGE(ナッジ)とは英語で「肘でそっとつつく」という意味です。

例えば食べ過ぎを抑えるためにメニューにカロリー表示をするというようなことです。実際に肥満大国のアメリカでは、2008年ニューヨーク市がフランチャイズチェーン店のメニューにカロリー表示を義務付けました。

お客は好きなだけ食べることができますがカロリー表示があると心理的な食べ過ぎのブレーキになります。これがまさに肘でつつくような誘導法のNUDGE(ナッジ)です。


posted by CYL at 10:00 | オイコノミア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2016年06月02日

オイコノミア|公務員という仕事

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オイコノミア|公務員という仕事



アメを与えて不正を防止

公務員はなぜ定年まで給料が増え続けるのでしょうか。それには訳があり、経済学の効率賃金仮説で説明ができます。効率賃金仮説とは、2001年にノーベル経済学賞を受賞したジョージ・アカロフと妻である米国中央銀行議長のジャネット・イエレンが考えた理論で、誘惑が多い仕事につく労働者に高い賃金を支払い失うものが大きい状況を作ることで不正を抑制するというものです。つまり、アメを与えて不正の抑制しようというのです。たいていの人は、安定と高収入を捨ててまで悪いことをしないというわけです。



労働者のやる気をアップさせる効果も

庶民でも乗れる大衆車を世に広めたアメリカの自動車会社フォードの創業者ヘンリーフォードは、1914年に労働者の給料を倍(1日の最低賃金を2.34ドルから5ドルに引き上げた)にすると、フォードで働きたいという人が殺到し、一方でフォードで働いていた人はもっとがんばるようになりました。

その結果、生産性が上がり収益が増えたのです。高い賃金を支払うことは、不正の防止だけではなく労働者のやる気も引き出す効果があるようです。



公務員の中でも給料が高いのは?

警察官や消防士、自衛隊など体力的にキツイ、または危険な仕事には、公務員の中でも高い給料が支払われています。その理由は、高い給料でないとなり手がいなくなってしまうからです。この状況を説明する理論として経済学でいう補償賃金仮説が当てはまります。


補償賃金仮説とは体力的につらい現場や危険が伴う仕事には高い賃金が支払われるというものです。給料の仕組みは、労働の純粋な対価と労働のつらさへの補償金から成り立ちます。


例えば、月収20万円の仕事の場合、労働の純粋な対価は5万円、補償金が15万円だとします。危険を伴う仕事の場合、労働の純粋な対価は同じ5万円であっても補償金が増額されるため給料は20万円よりも高くなるのです。それが、消防士や警察官、自衛官に割高の給料が支払われている理由です。



非正規の公務員が増加

公務員の数は年々減少していますが、反対に公共サービスは増加しています。そのギャップを埋めるために増えているのが非正規の公務員です。日本では正規、非正規という形をとっていますが、オランダではワークシェアリングという仕組みで対応をしています。


ワークシェアリングとは、1982年以降オランダで推進されているひとりあたりの労働時間を短縮して仕事を分け合う働き方のことです。例えば、5人の労働者がいたとします。3人の労働者が週5日働いて、2人の労働者が失業という状況であったとすると、5人の労働者が週3日働くことで、これまで3人で行っていた仕事を5人で仕事(ワーク)を分け合う(シェア)ことで一人あたりの収入は減少しますが雇用が安定します。

また、働く時間が短くなることで家族と過ごす時間が増え人生にゆとりが生まれます。その方が収入が減ったとして良い働き方だという考えに基づいた仕組みです。




人間の欲求は5段階?!

アブラハム・マズロー(1908ー1970)は、人間には5段階の欲求があると説きました。1の欲求が満たされると2へ欲求の段階が上がるというように下記の5段階の欲求があると考えました。


1、生理的欲求(食べる、寝る)

2、安全の欲求

3、所属と愛情の欲求

4、承認の欲求(他人から認められたい)

5、自己実現の欲求(自らのビジョンの実現)


公務員によい仕事をしてもらうためには、まずマズローの5段階の欲求のうち、安定した高い給料を支払うことで公務員の方の3ー5の欲求を満たします。さらに世の中が公務員の存在意義をきちんと認めることで、欲求の最終段階である自己実現の欲求(よい仕事)に取り組んでもらうことが可能になります。つまり、公務員叩きをするのではなく、公務員の仕事の意義を正しく理解し認めることで、公務員に良い仕事をしてもらうことができるのです。


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2016年04月30日

オイコノミア|又吉直樹ボクのニュース経済学

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オイコノミア
又吉直樹
ボクのニュース経済学


2015年、又吉直樹の3大ニュース
経済学の視点から見てみよう!!



2015年又吉直樹 3大ニュース
1、沖縄に帰省(祖母に会う)

沖縄に帰省した又吉さんは一編の詩を書きました。そこには『祖母の幸福は僕の幸福』という一節があります。経済学でこの一節を読み解くと「利他性」という言葉が当てはまります。利他性とは、自分がコストを払っても他人のために行動することを言い、利他性の中でも「純粋な利他性」は
他者の喜びそのものが自分の喜びになるということを言います。まさに又吉さんが書いた『祖母の幸福は僕の幸福』は純粋な利他性に当たります。さすが経済学芸人ですね。

利他性
自分がコストを払っても
他人のために行動すること


純粋な利他性
他者の喜びそのものが
自分の喜びになるということ



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2015年又吉直樹 3大ニュース
2、同窓会に参加

同窓会に参加した又吉さん。同級生の多くは結婚をしていました。昨年は、渋谷区で同性パートナーシップ制度が制定され、結婚の形が多様化しつつあります。経済学者ニック・ポータヴィーによると結婚によって得られる幸福度は月収が4万円増えたときの幸福度と同じ程度だと言われていますので同性カップルには大きな幸福をもたらす制度です。

ただ、同性パートナーシップ制度は条例であるため法的拘束力はありません。しかし、携帯電話の家族割が適用されたり、生命保険の受取人にパートナーを指定できるようになりその変化は決して小さなものではありません。日本では同性婚はまだ認められていませんが、世界には同性婚を認めている国や地域が欧米を中心に23あります。

また、LGBT(レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシャル(B)、トランスジェンダー(T)の頭文字)の権利を法的に認めている国ほど一人当たりのGDPが高いという研究もあります。つまり差別はGDPに不利に働くということです。

リチャードフロリダが発表したボヘミアン指数は、芸術家や作家、写真家などが人口に対してどの程度の割合をアメリカの都市ごとに調べて比較したものです。もう一つ類似した指数にゲイ指数がありますが、ゲイが多いこととクリエイティブな都市であることには相関関係があることがわかっています。つまり、都市がオープンであることは色々な人を受け入れる環境が整っていて、クリエイティブであるということに繋がると考えられます。このような「多様性」というのは新しいアイディアが生まれたり、イノベーションが起きることが期待でき、経済活性化の鍵になると考えられています。


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2015年又吉直樹 3大ニュース
3、芥川賞受賞

又吉さんの2015年最大のニュースは何といっても芥川賞受賞です。又吉さんの受賞に影響を受けてか大竹先生が論文発表を行った研究では、

芥川賞受賞者は候補者と比べ
平均3.3歳長生き

直木賞受賞者は候補者と比べ
平均3.3歳短命

ということがわかりました。結果に対する大竹先生の見解は、芥川賞は純文学の新人賞ということで受賞者は所得が上がって生活が安定し幸福度が高くなる、その結果、精神的にも肉体的にも健康になるのではないかと考えています。一方の直木賞はすでに実績のある作家が受賞する賞であるため、受賞することでより忙しくなるため短命になるのではないかと考えているそうです。

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