2017年10月01日

オイコノミア|実家とうまくいく経済学

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オイコノミア|実家とうまくいく経済学

親子関係を経済学で考える

コミットメントとは
自らに縛りをかけて約束を果たすこと

親子関係は、血縁によるコミットメントであり、血縁によって行動が縛られます。その強さ故の弊害が、ホールドアップです。

ホールドアップとは
コミットメントが強い関係において、どちらかが強すぎる力を押し付けると弱い方は身動きが取れなくなり「お手上げ」状態になること

例えば、子供が独立して家を出る時、親が「私を捨てて出て行くの?」と発言をしたとします。すると子供は、どうして良いかわからなくなってします。このような状態をホールドアップと言います。


親子の良い関係を保つために働きかけることが必要です。その時にかかる労力を含めた費用を交渉費用と言います。

交渉費用とは
取引相手と条件を交渉するのに要する費用であり、費用には労力や時間などが含まれる

かつての親子関係における交渉費用は、ほぼゼロでした。それは親子のほとんどが同じ家で暮らし、稼業を家族で行なっていたことが理由にあります。一方で、現在の親子は、その75%は別々に暮らし、ライフスタイルも考え方も異なっていることが多いため、昔に比べて交渉費用は高くなっています。


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片付かない実家の経済学
帰省した際に実家を片付けたくなったというアンケートに対して、Yesの回答率は28%となっています。実家が散らかっている原因の理由の一つには、親子関係の情報の非対称性が関係しています。

こんな事例があります。たくさんの鍋が台所に所狭しと並んでいる。母にとっては娘と一緒に料理をした思い出の鍋。しかし、娘にとっては単に古いだけの使わない鍋。親子でこの認識のギャップ(情報の非対称性)を埋めることで、母は、鍋というモノの価値観を思い出という価値に転換することで、片付けることができたと言います。

このように親子の情報の非対称を解消することが片付けをスムーズに行うポイントとなります。


大量の衣料をどうするか
特に女性は衣類を大切にするため捨てることができないケースがあります。捨てることには抵抗があり、売るとしてしても二束三文になるため、結果として捨てられないケースが多いのです。そこで、捨てる、売る以外の方法を提案するという方法があります。例えば、寄付です。私の持っている服が役に立つと考えることで、衣類を手放すことが可能になります。

つまり、片付けには”モノの価値から心の価値”への転換が鍵になるようです。

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親が遺産を残す動機
親が子供に遺産を残す動機には大きく分けて下記の3つがあります。

利己的
自分の老後のため

利他的
子供達の将来のため

王朝的
家系を継続するため

日米で遺産に関するアンケートを行なった結果、意外な結果となりました。アンケート結果の違いには、宗教心が関係していると言われています。

日本
利己的 65%
利他的 34%
王朝的 1%

アメリカ
利己的 32.7%
利他的 67%
王朝的 0.3%


親子の経済関係の変化
かつて親子の経済関係(財力)は、子供が大きくなるに連れて、逆転し、子供が親の面倒を見るのが当たり前でした。しかし、今は子供が非正規社員などの場合は、子供が親を逆転することなく、子も親も財力が小さいままであるという現実があります。

リレーのバトンに例えると、かつては親から子へのバトンリレーがスムーズに行われていましたが、今は親がバトンを持ったまま子供との並走を余儀なくされているという現状なのです。



posted by CYL at 11:15 | オイコノミア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2017年06月12日

オイコノミア|もしもあなたが難病になったら

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オイコノミア|もしもあなたが難病になったら

オイコノミアとは、経済学を意味するエコノミクスの語源となった古代ギリシャ語です。経済学とは、お金儲けの学問ではなく、人々がどのように生きれば皆で一緒に幸せになれるのかを考える学問です。

今回は、難病について経済学から考えてみましょう。世界に難病は5,000種類以上ありますが、その中で日本で難病指定されている病気は330種。その患者数は約92万人にもなります。

明治学院大学特別研究員の大野更紗さんは、皮膚筋炎及び筋膜炎脂肪織炎症候群という難病の経験者です。難病を突然発症した大野さんは、同じ病室で、皆一様に苦しんでいるのに、難病に指定されている病気を患っている人と難病指定されていない病気に罹っている人ではその待遇に違いがあることに疑問を感じたと言います。

難病指定されるためには様々条件があります。下記は一例にすぎませんが、これらの条件を少なくともクリアーしていなければ、難病に指定されることはありません。つまり、指定難病とは社会的な定義ということになります。

難病指定の条件(一部)
発病のメカニズムが不明
治療方法が確立されていない
長期間の治療が必要
日本の人口の0.1%以下程度

また、難病は完治が見込めず生涯にわたって治療が続くことが多いのです。そんな難病の治療費について経済学で考えてみましょう。

保険制度を考える
治療費に多大な影響を与える保険制度について考えてみましょう。あなたならA、B、どちらの保険を選びますか?

A、5万円までは全額負担 以降は無料
B、自己負担が1500万円までは3割負担
以降は無料

実は、Aは自動車保険タイプの保険で、Bが医療保険タイプの保険となります。前述の大野さんの場合、難病を罹った経験をお持ちということから、Aタイプの保険を絶対に選ぶと語ります。そうでなければ難病という大きなリスクには備えることができないと言います。

現在の医療保険はBタイプが多く、難病に罹った際のリスクにはうまく対応ができないのが現状です。現状の保険タイプは今後、民間または政府によって変革が求められるかもしれません。

病名がわからない
難病を罹った患者さんに共通する苦労が、病名がわかるまでに時間がかかるということです。難病の専門家の数が少ないために、巡り合って適切な診断がくだされるまで時間が要するのです。

サーチ理論
市場は取引相手を探す場と考えます。サーチ理論は、自分に合った相手を探すために有効な考え方のことをいいます。その一つが、フラッグを立てることで出会いやすくすると考え方です。

織田友理子さんは、遠位型ミオパチーという超希少難病を抱えています。織田さんは2008年に同じ超希少難病を抱える患者の会を結成しました。織田さんが「自分たちがここにいるという声を上げないと問題が可視化されない」と語るように、署名活動を行った結果、2014年に指定難病に認定されました。

織田さんが行った行為がまさにフラッグを立てることを意味します。患者の会を立ち上げたことでそこには同じ病を抱える患者だけではなく、専門医の医師などサポーターが現れたのです。フラッグを立てるにはサポーターが必要です。

難病患者にも
健常者にもプラス

かつては車椅子のなどの障害者用として整備されたエレベーターですが、いまでは小さな子供を抱える母親がベビーカーなどと一緒に利用しています。このように健常者にもプラスとなることがあるのです。

マイノリティーの経済学
難病患者はいわばマイノリティーです。マイノリティーが多数派とどのようにかかわるのかについて考えて見ましょう。

転校生というマイノリティーを例に考えてみましょう。よくありがちな転校生というマイノリティーに対して多数派の対応として、なんだか嫌な感じがするから話さないということがしばしばあります。一見、嫌な感じがするからという原因と話さないという結果の間には因果関係があるように見えることがあります。

しかし、人の振る舞いを心の中と行動に分けて考えてみると下記のように分類することができます。

心の中  イメージ良い   イメージ悪い
行動
話す   真正進歩主義者  偽善者   

話さない 日和見進歩主義者 差別主義者

例えば、良いイメージを持っているが話さないという日和見進歩主義者。多くの人はこの分類に属するのではないでしょうか。良いイメージはあるけれど、周りの人の様子を伺いながら、自らの行動を決めるのです。その結果、話さないという行動から転校生のイメージが悪くなる。つまり、行動が心の中を決めているのです。それを東京大学の松井教授は、帰納論的ゲーム理論と名付けています。

帰納論的ゲーム理論を障がい者に当てはめて考えてみましょう。今では障がい者の駅などで見かける機会が多くなりましたが、かつてはほとんど見かけることはありませんでした。見かけないという行動が、障がい者に対する偏見へと繋がって行くことがあるということです。

かつては経済学は人間関係を科学する学問でもありました。相手のことを考える、相手の立場に立って、ものをみる、そんな広い意味での共感が今問われています。

posted by CYL at 22:21 | オイコノミア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2017年06月06日

オイコノミア|あなたの知らない”お菓子”な経済学

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オイコノミア|
あなたの知らない”お菓子”な経済学


チョコレートから見えてくる経済学
製品差別化

いま健康志向のチョコレートが注目を集めています。それを示すようにチョコレート市場の推移をみるとチョコレートの小売金額は年々伸びており、2015年には約5000億円となっています。また、50歳以上のチョコレートへの支出額が過去15年で5割も増加しています。

チョコレートはお菓子の定番であるため、競争相手が多く価格競争が激しくなります。価格競争になると商品の値段が下がるため消費者にとっては嬉しいことですが、売り手は困ってしまいます。

そこで、従来のチョコレートよりも低糖質であるなど健康志向のチョコレートを開発することで、競争相手が少ない状態を作り出そうと売り手は考えます。

健康志向のチョコレートは、従来のチョコレートと似ているけれど、違うので、独占力があります。独占力があることで競争を回避することができるため、健康志向のチョコレートは商品価格を高めに設定できるのです。

さらに元々チョコレートが好きな人だけではなく今までチョコレートを食べなかった層までターゲットにできるため、新たな市場の創出に繋がります。

このように新しい機能や特性をつけることで他の商品と差別化し、消費者を獲得することを製品差別化と言います。


カカオ豆の生産者の貧困
買い手独占

カカオ豆生産者の貧困が世界的な問題となっています。なぜカカオ豆生産者の収入が低いのか。その原因は、カカオ市場の仲買人の買い手独占状態であることが挙げられます。

複数の買い手がいる場合は、生産者は買い手の中から一番高く買ってくれる人にカカオ豆を売ることができまます。しかし、カカオ豆生産者が貧しいため、売るために必要なトラックなどの輸送手段を持っていません。そこで村までカカオ豆を買うつけにきてくれる買い手に売ることになります。

その結果、買い手独占となってしまいます。買い手独占の場合は、買い手が一人しかいないので売り手の交渉力が非常に低い状態となり、当然高く買ってもらうことはできません。


経済学でダイエット?!秘密は税金
経済学にも肥満を防ぐ方法があります。それは税金です。
イギリスで2018年に導入が予定されている砂糖税は、砂糖の含有量100mlにつき5g以上8g未満の場合、1リットルに対して18ペンス(約25円)が課税されます。また、砂糖の含有量100mlにつき8g以上の場合は、1リットルに対して24ペンス(約33円)が課税される予定です。(これらの税収は子供向けの健康プラグラムの財源に充てられます。)このように税金を課すことで人々の消費に歯止めをかけようというのです。

また、3人に1人が肥満だと言われるメキシコでは、2014年に砂糖入り飲料1リットルに対して1ペソ(約6円)が課税される税金が導入されています。その結果、消費量が9%減少したと言います。(特に低所得者の消費量については17%減少)

一般的に税金は、人の行動に影響を与えないものが良いとされていますが、砂糖税やソーダ税のように人の行動を変える目的で導入される税金のことをピグー税と言います。ピグー税は人の行動を変えることで社会をより良くすることができると期待されています。

ピグー税の例
ロンドンの渋滞税
平日の7時から18時まで課金区域内で運転するドライバーは1日11.5ポンド(約1600円)を支払う
posted by CYL at 08:00 | オイコノミア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2017年02月19日

オイコノミア 兄弟姉妹の経済学

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オイコノミア
兄弟姉妹の経済学



生まれ順で特性が違う?
兄弟姉妹の中で、よく一番上はしっかり者であるなどと言われますが、経済学の観点から兄弟姉妹を見た場合はどうなるのでしょうか。大阪大学の大竹教授は、生まれ順による特性を経済学から研究をしています。大竹先生によると、兄弟姉妹の生まれ順による特性の一つとして、「姉をもった男性は競争的報酬を好まない」ということを挙げています。

この結果はある実験から導き出されました。実験で4人に迷路を解いてもらい、事前に2つの報酬の渡し方を提示し選んでもらいました。一つ目は正解数に応じて報酬を支払う出来高制です。もうひとつは、4人の中でも最も正解が多かった一人だけに出来高制給の4倍の報酬を支払う方法です。

実験の結果わかったことは、姉を持つ男性は競争を避けて確実に報酬をもらえる方法を選ぶということでした。一方で、兄弟・姉妹のように同性同士では競争を嫌わないこともわかっています。また、弟を持った女性は、妹を持った女性に比べて競争好きで自信がある、姉を持った男性は、優しく協調性の性格を持つ傾向があると言われています。

競争がお互いを高める
意識や能力の高い人や集団と切磋琢磨しお互いを高め合うことをピア効果といいます。近畿大学の研究では、水泳の選手はひとりで泳ぐ時より両側のレーンに競争相手がいるときの方が好タイムが出るということがわかっています。

兄弟姉妹は、お互いに長い時間を一緒に過ごすために、ピア効果は大きくなります。ピア効果には、正のピア効果と負のピア効果があります。先の水泳の例は正のピア効果ですが、一方であまり努力をしない兄弟姉妹がいると他の兄弟姉妹も努力しなくなるというような負のピア効果も存在します。

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行動遺伝学から読み解く
兄弟姉妹


兄弟姉妹の性格が形成される要因は大きく分けて2つあります。遺伝的要因と環境的要因です。人格形成などに遺伝がどの程度影響しているのかを行動遺伝学の観点から研究をしている慶應義塾大学の安藤寿康教授によると、2つの要因が人格形成に影響を及ぼす割合は、半々だといいます。

例えば、パーソナリティ(外交性や神経質さ)は40%が遺伝の影響で、知能や学力は遺伝の影響が高く50%から60%くらいだと安藤教授は語ります。顔形だけでなく人間の行動や心の動きは、教育や自分のトレーニングによって作られていると皆が信じていますが、実は遺伝の影響を大きく受けていると言えます。

ひとりっ子政策の影響
1979年から中国では人口増加を抑えるためにひとりっ子政策が始まりました。ひとりっ子政策が始まった1979年前後に北京で生まれたひとりっ子と兄弟のいる男女400人を対象にした調査があります。

調査の内容は次のような形です。まずAさんは1万円を受け取ります。1万円の中からいくらかをCさんに預けるとその3倍の金額がBさんに手渡されます。Bさんは手渡された金額のうち、いくらかをAさんに手渡します。

この調査は「信頼ゲーム」と呼ばれ、相手をどれだけ信頼するかがわかります。Aさんの信頼する気持ちが強ければ、もらった1万円を全て預けることでBさんは3万円を手にします。それを2等分すると、それぞれが15000円ずつを手にし、お互いの利益が最大となります。相手を信頼する気持ちがなければ、決してお互いの利益が最大になることはありません。

この信頼ゲームを中国のひとりっ子に行ったところ、他人への信頼感が少なく、リスクをとることもまた少ないことがわかりました。ただし、中国の場合は、ひとりっ子政策のため、周りも全てひとりっ子という特殊な状況であったことを鑑みるとこの結果が、日本のひとりっ子にも当てはまるかというと疑問の余地が残ります。

posted by CYL at 23:00 | オイコノミア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2017年01月28日

オイコノミア(Eテレ) 音楽の経済学

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オイコノミア
音楽の経済学


今回のオイコノミアのテーマ「音楽」です。音楽について経済学の視点から見ていきます。これまで音楽はCDという形式で販売されてきましたが、現在はitunesなどを始め楽曲のダウンロードサービスが主流となっており、1曲から購入が可能です。さらに今では定額で楽曲が聴き放題というプランもあり、年々CDの販売枚数は減少の一途を辿っています。その一方でライブやコンサートの件数が年々伸びています。

今回はライブのチケット高額転売問題を通して見えてくるチケットの価格について学び、さらに価格をテーマに掘り下げて消費者がサービスの対価として支払う金額についての意外な一面に迫ります。

経学用語「補完財」とは?
東京渋谷にある書店には音楽CDや雑貨小物、ワインなどが販売されています。この店舗の形式を経済学で見てみるとひとつの経済用語が浮かび上がります。それが補完財です。

補完財
2つの財を一緒に使うと効用がより高まる財

例 パンとジャム

音楽単独で販売するのではなく、他の商品と組み合わせて売ることで補完財の働きをするのです。最近は多くの店舗でこのようにメインの商品とは別のものを販売しているお店を見かけるようになりましたが、まさに補完財効果を狙っているのでしょう。

チケット高額転売問題
CDの販売が伸び悩む一方でライブやコンサートの売り上げは伸びています。2016年8月 チケット高額転売に反対する新聞広告が掲載されました。このチケット高額転売問題について経済学から考えてみます。


高額転売が起こる理由
まずどうしてチケットの高額転売が起こるのでしょうか。その理由から考えてみましょう。チケットの値段と観客数の関係は、チケットが安ければ多くのひとが購入します。一方でチケットが高額の場合は購入するひとは少なくなります。

あるアーティストのコンサートのチケットが8,000円だったとします。8000円の場合の観客数は300人とします。チケットの値段を12,000円にした場合は、150人が購入します。すると150枚のチケットが余ってしまいます。また、チケットの値段を4000円にした場合は、400人の人が購入を希望します。すると100名がチケットを買いたくても購入できない結果となります。

そして、ここがポイントなのですが、チケットを購入できない人の中には、チケット購入に4,000円しか出さない人と4,000円以上支払ってもコンサートに参加したいという人がいます。4,000円以上支払ってもよいという人の需要が発生するため、高額高額転売を目論む輩が出現するのです。

つまり、チケットの価格が安いことが高額高額転売問題の原因のひとつと考えられます。しかし、長期的な視点からみるとチッケットが安い方がアーティストとファンの両方にメリットがあるのです。その理由は、、、

チケットを安く売る理由
・長期的にファンでいてもらうため
・ファンの新規開拓ができる

アーティストとファンの双方にメリットがあるようにチケットの価格は設定されているのですが、高額転売が起こるとその価格のバランスが崩れてしまうため、先に紹介したように新聞広告で高額転売に対する反対を訴えたという訳です。

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価格についての経済学
行動経済学の実験

行動経済学者のウリ・ニーズィが行なった実験です。実験の舞台となったのはツアーボートです。このボートには乗船前に写真を撮って後で販売するというビジネスがありました。ニーズィは定価15ドルで販売している記念写真を次の3通りの方法で販売し、どの方法が最も売れるか調べました。

1、定価の15ドルで販売
2、5ドルに値下げして販売
3、客の言い値で販売

結果は次のとおりでした。それぞれ左から15$で販売した場合、 5$で販売した場合、 言い値で販売した場合の数値が並んでいます。

注目すべきは言い値で販売した場合の1枚あたりの利益が3.50$と他の他の販売方法よりも良いことです。その訳を経済学から考えてみるとひとつの経済用語が浮かび上がります。それは「セルフイメージ仮説」です。

購入者  23% 64% 55%
平均価格  15$ 5$ 6.43$
1枚の利益  3.45$ 3.2$ 3.50$

セルフイメージ仮説
自分がフェアな人間であるという自己イメージを守るために利他的な行動をとるという行動経済学の仮説


このセルフイメージ仮説は誰も見ていなくても働くことがポイントです。オーストリアで行われた実験でレストランで食事をした後に客の言い値で支払いを行いました。その支払方法は2つあり、ひとつは言い値の金額を封筒に入れる方法、もうひとつは直接レストランのオーナーに支払う方法です。

どちらが多くの金額を集めたでしょうか。結果は意外かと思われますが封筒に入れて支払う方法の方がより多くの金額が集まったのです。つまり、誰が見ていなくても自分自身のセルフイメージを保つために人は行動をすることを意味しています。

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posted by CYL at 09:37 | オイコノミア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする