2017年12月29日

オイコノミア|経済学で”安心”を手に入れる

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オイコノミア|経済学で安心を手に入れる



生きていく上で避けて通ることが出来なのがリスクです。健康やお金、少子高齢化など人が感じている不安は三者三様です。しかし、それらに共通しているのが「将来がわからない」ことへの不安であることがわかります。

経済学では、将来のことがわからないことを”不確実性”と言います。不確実性が大きいほど人は不安になります。不確実性と言えば、経済学でよく引き合いに出される質問があります。それは、100%の確率で100万円が当たるくじと50%の確率で200万円が当たるくじではどちらを選びますか?というものです。ほとんどの人が100%で100万円が当たるくじを選択しますが、それは人は不確実性を避ける傾向にあるためです。


安全は現実、安心は心の状態

テロやミサイルなどのリスクに対して、最近よく聞くキーワードに安心・安全がありますが、その違いについて考えて見ましょう。まず安全は現実の状態を表します。一方の安心は心の状態を表します。つまり、現実の状態が安全であったとして、安心できなかったり、その反対も起こりうるのです。

しかし、正しくリスクを把握するのは容易いことではありません。具体的な例を挙げて考えて見ましょう。

1万人に一人がかかる病気があります。その病気にかかっているかを検査を行います。検査方法は、検査薬を注射して、陰性反応であれば病気にかかっていることを示し、陰性反応であった場合は、病気にかかっていないことを示します。ただし、この検査は、病気でない人でも5%の確率で陽性の結果が出ることがわかっています。さらに、病気にかかっている人でも、10%の確率で陽性が出ないことがわかっています。

あなたがこの検査を受けて、「陽性」の反応が出たとします。本当にあなたが1万に一人がかかるという病気にかかっている確率は一体どのくらいだと思いますか?20%? 50%? 80%? 結果は以下の通りです。

1万人が検査を受けた場合

実際は1万人に一人が病気なので、、、
病気の人:100人
病気でない人:99万9900人

しかし、検査では、、、
病気でない人でも5%は陽性:4万9995人
病気であるが陰性:10人

つまり、陽性反応が出ても病気でない確率は、約0.18%となります。陽性反応が出たとしてもほとんどの人が病気ではないということになります。0.18%という数字はあたなが考えた予想よりもはるかに低い確率だったのではないでしょうか。人間の直感と確率の間に大きな隔たりがあるのがわかります。

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リスクから身を守る保険
痴漢冤罪をテーマとした映画がありましたが、毎日、満員電車に乗っていれば当然痴漢冤罪のリスクが存在します。そんな痴漢冤罪のリスクに備えた保険があります。痴漢冤罪の事件の場合、発生から48時間以内の弁護士費用を保険でカバーしてくれるというものです。痴漢冤罪においては特に発生段階で弁護士が適切に対応することで重要であるためです。掛け金は月々590円で契約件数は約7000件を数えます。このようにリスクを避けることをリスクヘッジと言いますが、保険はまさにリスクヘッジと言えます。

また、大家さんのリスクヘッジとして今注目を集めているのが孤独死対策保険です。現在、高齢者の一人暮らしが増えていますが、大家さんとしては、孤独死のリスクを抱える高齢者へ部屋を貸すのは躊躇いがあります。そんな大家さんのスクをカバーしてくれるのが孤独死対策保険です。大家さんがこの保険に加入することで安心して高齢者に部屋を貸すことができます。この保険は大家さん向けの保険ではありますが、この保健があるおかげで大家さんの貸し渋りにより部屋を借りることができなくなる高齢者が減少しますので、借り手にもまたメリットをもたらしている保険と言えます。



posted by CYL at 17:27 | オイコノミア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月06日

オイコノミア|欠乏の経済学

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オイコノミア|欠乏の経済学



経済学の元々の目的は、モノやお金など物的資源の配分を研究する学問です。つまり、欠乏の研究の元祖と言ってよいでしょう。

ところが今、物的資源ではなく“心の資源”の欠乏が与える影響を経済学で研究しています。欠乏によって特別な心の状態(マインドセット)になることがわかっています。

欠乏を感じた時、人の心はどんな動きをするのか見ていきましょう。

1、目の前の欠乏しているものに注意が向けて心がいっぱいになる。
2、集中ボーナスがもたらされる。
3、処理能力の低下
4、トンネリングの状態になる
5、ジャグリングの状態となる
(1へ戻って負のループに陥る)

集中ボーナスとは
集中ボーナスとは、下記のムッライナタンとシャフィールドの実験結果の通り、目の前のことだけに焦点を当てることで集中力が高まることをいいます。その代償として、処理能力に負荷がかかることで正しい判断ができなくなって様々な間違いをしまう。(トンネリング)

ムッライナタンとシャフィールドの実験とは
持ち玉の数が違う2つの集団で射的ゲームを行ったところ、持ち玉が少ない集団が高得点を記録した。(集中力が高まった。)

トンネリングとは
何かに集中することで他のことに意識を向けられないこと。トンネリングの状態になると喫緊の課題に集中してしまうあまり、緊急ではない活動を後回しにしてしまいます。その結果、目の前のこと場当たり的な対応に終始してしまう。(ジャグリング)

トンネリングから抜け出すヒントは、下記のマシュマロテストの結果の通り、他のことに注意を向けることで、トンネリングを回避することができる。

マシュマロテストとは
子供の目の前にマシュマロをひとつ置いて「戻ってくるまで食べずにいられたらもう1つあげるよ」という実験です。待っていられた子供たちが何をしていたかというと、マシュマロ以外のことを考えるようにしていた。

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貧困と欠乏

フィリピンのスカベンチャーと呼ばれるゴミの中から資源を収取して日々生活の糧としている人々がいます。彼らには貯蓄の習慣がないため、日々の暮らしだけに注力してしまい(トンネリング)、例えばシャンプーなどはボトルで購入した方が結果的に支払う総額を抑えることができますが、小分けのシャンプーをその日使う分として購入をしています。

また、時にまとまった収入があったとしても、お酒やタバコ、ギャンブルなどに費やしてしまいます。(判断能力の低下とジャグリング)

貧困問題は、欠乏の状態を理解することで、解決のアプローチは変わってきます。

貧困解決の道
教育や貯蓄によって将来が良くなるという情報を提供する(し続ける)ことが大切であることがわかっている。(将来の利益の「見える化」)

例えば、大学の年間授業料と大卒者が将来見込める月収を「見える化し、さらには貯金を促すためにタバコを1本節約するといくら、ビールを1本節約するといくらとこちらも「見える化」する取り組みがなされています。

さらに、これらの取り組みについて1度だけではなく、定期的に周知することもまた重要です。そのために大切なのが「リマインド」です。

リマインドとは
忘れてはいけないことを思い出させるためのお知らせのことです。

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欠乏に陥らないためのポイント
スラック


スラックとは
英語で緩み、たるみを意味するスラックは、経済用語で使われていない余裕の資源を意味します。

スラック(余裕)があれば予想外のことがあっても対処できます。アメリカのセントジョンズ地域医療センターの例を見てみましょう。同センターには32ある手術室はいつもいっぱいで急患があった場合は、その都度、手術スケジュールを組み直すことで対処していましたが、ミスが多く発生していました。

この状態を専門家に相談したところ、急患用にひとつ手術室を空けておくことを提案された。助言に基づいて実施したところ効率が格段にアップして毎年手術件数が7~11%増加する結果となっているといいます。まさにスラックの効果と言えます。
posted by CYL at 23:26 | オイコノミア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

オイコノミア|遊園地・テーマパークの経済学

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オイコノミア|
遊園地・テーマパークの経済学


遊園地・テーマパークの売り上げは2016年度過去最高額(約6650億円)を記録しました。少子化が進む社会においてなぜ過去最高額を記録したのでしょうか。経済学からみていきましょう。

資産の有効活用

夏に賑わいをみせているテーマパークと言えばプールですが、冬になれば無用の長物(遊休資産)となります。そんなプールを冬には釣り堀として活用しているテーマパークがあります。このように、1つの資源を使って複数の事業を展開することで生産性を上げることを経済学では“範囲の経済”といいます。

遊休資産とは
所有しているのに使っていない資産

範囲の経済とは
1つの資源や技術を使って複数の事業を展開することで生産性が向上すること。(例)コンビニのATMや宅配サービス、発酵技術を使ったビール会社の医療品事業

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遊園地の消費の意味が変わった

また、ブログやSNSが遊園地やテーマパークの好調を後押ししています。SNSの登場によって遊園地の消費の意味が変わりました。

これまでの遊園地での消費の意味は、自分が楽しんで満足感を得るもの(非地位財)でした。しかし、いまは自分の楽しい思い出を他人に見せて満足感を得るもの(地位財)になっています。つまり、人より貴重な体験をしないと自分の満足度が上がらなくなったのです。

地位財とは
他人と比較することによって自分にとっての価値が変わるもの。(例:車、時計など)

非地位財とは
他人と比較してもしなくても自分にとっての価値が変わらないもの。(例:健康、通勤時間など)


大人・子供料金の違い

大人料金と子供料金に違いがあるのは、子どもを安くした方が結果的に遊園地全体の利益が大きくなるからという端的な理由です。遊園地側は、子供には子供の価格、大人には大人の価格というように、それぞれ利益が最大になる価格を設定しているのです。

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行列には耐えられますか?

遊園地に行くとアトラクションに乗るために時に何時間も行列に並ばなければならないことがあります。経済学で行列を見てみると、機会費用が高い人ほど不利な仕組みとなっています。

機会費用とは、ある行動をとった時間にほかのことをすれば得られたはずの利益のことを言います。例えば時給1000円で働いている人が1時間行列に並んだ場合の機会費用は1000円ということになります。

そのため、行列に並ばないとアトラクションに乗れないとすると機会費用が高い人は遊園地に行かなくなります。それを避けるための仕組みとして、追加料金で行列を飛ばすというサービスを用いることで機会費用が高い人でも遊園地へ足を運んでもらうようにします。

この仕組みは遊園地に限らずタクシー配車サービスやグリーン車・指定席にも当てはまります。新幹線の指定席やグリーン車は、使い料金を支払うことで事前に席を確保でき並ぶ必要がないというわけです。
posted by CYL at 23:24 | オイコノミア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする