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世界本格お茶ブーム!影の仕掛け人たち
世界本格お茶ブーム!影の仕掛け人たち
世界的な緑茶ブームによって日本からの緑茶輸出額が2000年ごろから急激に増加し、2014年には2000年のおよそ6.5倍の78億円となっています。そんな世界的な緑茶ブームの影に日本人の奮闘がありました。
アメリカ|前田園
世界的抹茶ブームの中心はアメリカです。スターバックスは、ティーバナというお茶の販売店を買収して全米を中心に300店舗を展開しています。
さらにアメリカでは健康志向の高まりにより緑茶はアサイーなどと並んでスーパーフードと呼ばれています。スーパーフードとは、栄養バランスがよく健康によい成分が多く含まれている食品のことをいいます。

ブームのきっかけは抹茶アイス
いまアメリカで最も注目されているのが抹茶ですが、抹茶ブームの影にひとりの日本人の奮闘がありました。それはアメリカでお茶のビジネスを展開する前田園の前田拓さんです。
前田さんは、長崎の老舗の茶舗に生まれ、1984年、28歳の時にアメリカでお茶を売りたいと会社「前田園」を立ち上げましたが、当時は全く売れなかったといいます。
緑茶を知ってもらう良い方法はないかと考えてつくったのが、抹茶アイスでした。本物の味わいがあってしかもアメリカ人が食べやすいものとして、1993年に抹茶アイスを発売するとたちまち大ヒットとなりました。その2年後、前田さんは抹茶アイスを日本に逆輸入しました。これが日本の大手メーカーが抹茶アイスを販売するきっかけとなりました。
抹茶アイスのヒットをきっかけにお茶の需要が拡大し、いまでは当たり前のように抹茶ラテなどが飲まれています。

抹茶カフェ一大プロジェクト
前田さんがいま取り組んでいるのが抹茶カフェチェーンのアメリカ展開です。カフェには、前田さんの地元の長崎の企業が協力します。たとえば、カステラで有名な文明堂、カフェの器を提供する波佐見焼の最大手白山陶器などです。
さらにこのプロジェクトには、日本文化を海外に売り込む支援を目的とした国と民間が出資したファンド「クールジャパン機構」や全日空が参加します。クールジャパン機構は、前田さんの事業に2億6000万円の出資を決め、全日空は、カフェで自社でつくった映像を流すことで日本への送客に繋げる狙いがあります。前田さんは、将来的に抹茶カフェチェーンを世界で1000店舗展開することを目指しています。
タイ|中村茶舗
世界の緑茶市場の80%を占める中国ですが、中国では抹茶はほとんど作られていません。そのため、抹茶が日本が世界で戦う上での武器になります。その証拠に、訪日外国人のお土産No.1が抹茶味のキットカット(日本限定商品)なのです。
そんな抹茶を武器に海外進出を果たしたのが中村茶舗です。明治17年に島根県松江で創業した中村茶舗は、抹茶を挽く伝統の石臼を考案したことで知られ、代々伝統を守り続けてきました。そんな中村茶舗の4代目中村寿男さんが、新たな市場を開拓すべくやってきたのがタイでした。2007年バンコクにカフェ「チャホ」をオープンしました。お店でこだわったのが、本格的に立てた抹茶を飲むことができるコーナーです。抹茶を味わってもらうとともに茶道の心得も教えています。
いまでこそ抹茶の名はタイでも有名ですが、以前はほとんど知られていませんでした。抹茶が広く知れ渡ったきっかけは、タイ王室から声がかかりソーンサワリ王女に抹茶を立てたことでした。その模様はテレビで放映され、抹茶と中村さんの名は一気に知れ渡ることとなりました。
中村さんはタイの人々の抹茶の対する反応は日本よりも良いと感じているため、タイのような抹茶未開の国での今後のビジネス展開についても明る展望が持てると語ります。

インドネシア|
アサヒグループホールディングス
アサヒグループホールディングス
インドネシアでは甘い緑茶が人気を博しています。その緑茶市場は、地元メーカーがシェア90%を占めています。そんなインドネシアに乗り込んだのがアサヒグループホールディングスです。
インドネシアは世界第4位の人口を誇り、経済発展により中間層が増えているため、将来性のある魅力的なマーケットの一つです。アサヒグループホールディングスは、2015年4月にインドネシア工場を設立しペットボトルの緑茶の製造をはじめました。現在、地元メーカーのシェアを奪うべく販促活動に取り組んでいます。

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