2017年06月13日

NHKスペシャル|ニッポンの家族が非常事態

NHKスペシャル|ニッポンの家族が非常事態

いま女性への負担が増え続けています。共働きやワンオペと揶揄して呼ばれるほど負担を強いられている母親ひとりでの子育て、そしてそれらの苦労に理解のない夫と、現代の奥様がたは3つの苦悩をもっていると言われています。そんな肉体的、精神的な負担が増すにつれて、妻が夫にキレる、そんな事態が起こっています。

今回は、なぜ妻が夫にキレるのか、その訳を脳科学から迫りたいと思います。

既婚女性のアンケートでは、夫に対する不満原因の第1位に「自分の気持ちを理解していない」という結果
があります。

ペンシルベニア大学の脳科学者のルーベン・ガー博士は、夫が妻の気持ちを理解できない理由として、男女の脳の情報伝達の仕組みの違いがあるといいます。

右脳と左脳の連結
アリ→女性
ナシ→男性
脳には、感覚を司る右脳と理論を司る左脳があります。たとえば、人と対面した場合、感覚的な右脳で人の表情を視覚として認識します。そして、左脳を使って人の表情を分析し、その意味を捉えます。

女性の脳の働きを見てみると、右脳と左脳が連動して左右の動きがあるのに対して、男性の脳は、右脳と左脳の連結が少なく、どちらか一方の縦の動きしかありません。そのため、上記のような人と対面した場合、視覚で表情を捉えて、その意味を理解することが女性に比べて苦手なことがわかります。つまり、相手との共感が苦手なのです。そのため、共感が得意な女性からみるとなぜ自分の気持ちを理解できないのだろうと不満が募るのです。

実際に、表情の読み取り実験を行った結果、その正確性と回答の速さは女性の方が優れていることがわかっています。

ルーベン・ガー博士によると「女性は感情について話すのが得意ですが、男性は「感情は感情に過ぎない。それについて何を話せばいい?」と考えるといいます。この違いが誤解や衝突を生んでいると指摘します。

ネガティブな記憶方法に男女差
カルフォルニア大学アーバイン校のラリー・ケイヒル博士はネガティブな記憶のメカニズムを研究しています。
人間は、脳のへんとう体と呼ばれる器官で怒りや悲しみを感知し、海馬と呼ばれる器官でネガティブな記憶を蓄えます。

へんとう体と海馬のペアーは、右脳と左脳にひとつずつ存在しますが、男女によってどちらのペアーを使うかに違いがあります。女性は、論理を司る左脳側のペアーを、男性は感覚を司る右脳のペアーを使ってネガティブな記憶をすることがわかっています。

女性がネガティブな出来事をよく覚えている原因が、理論を司る左脳側のペアーを使っているためだと考えられています。女性は、論理的に意味づけを行って詳細に記憶するのに対して、男性は漠然としたイメージでしか記憶ができないのは、このためです。

では、なぜ男女によってネガティブな記憶方法に違いがあるのでしょうか?それは進化の歴史から理解できるとラリー・ケイヒル博士は語ります。女性は、子供や力の弱い自らを守るために、ネガティブなことを詳細に記憶しておくことが必要でした。一方で男性は狩猟での恐怖を克服する必要があるため、ネガティブな記憶を忘れる必要があるのです。そうでなければ、狩猟に出かけられなくなってしまうからです。


愛情ホルモンと戦士のホルモン
クレアモント大学のポール・ザック博士によると、進化の過程でヒトは複数のパートナーと関係を結んできた一方でオキシトシンによってひとりのパートナーを選ぶように動機付けられているといいます。

オキシトシンとは、もともとは母と子の絆を深めるためのものでしたが、進化の過程で夫婦の愛情ホルモンとしても作用するようになりました。その背景には、人類太古の夫婦の形である一夫多妻制にあります。力のある男性が多くの女性を養う一夫多妻制は合理的です。人類が誕生した約700万年前から数千年前まで夫婦の形は一夫多妻制でした。

夫婦の愛を育むオキシトシンに対して、テストステロンという戦士のホルモンと呼ばれる男性ホルモンがあります。テストステロンは、意欲やチャレンジ精神を生み出しますが、共感力や相手を思いやる気持ちを低下させます。

実際の実験では、女性のテストステロンの値が高いほど、パートナーの男性の満足度が下がることがわかっています。いま、女性の社会進出が進み女性のテストステロンの値が高くなっている傾向があるといいます。

愛情ホルモンを増やすには
夫婦の愛を育むにはオキシトシンを増やすことが求められますが、一体どうしたら良いのでしょうか?クレアモント大学のポール・ザック博士は下記の3つを挙げています。

オキシトシンを増やすポイント
見つめ合いスキンシップを取る
目標に向かって2人で協力する(料理など)
サプライズの贈り物

夫婦の円満の秘訣
夫婦の愛情ホルモンのオキシトシンを増やすことも大切ですが、根本のところで男女には脳の働き方に違いがあることを互いに理解をすることにあるようです。つまり、男女は違うので、相手に同じことを求めてもうまくいかないということを知ることです。







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2015年08月31日

NHKスペシャル|老人漂流社会〜親子共倒れを防げ〜

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NHKスペシャル
老人漂流社会|親子共倒れを防げ



親と同居する中年未婚者増加

いま、親と同居する未婚者(35歳〜44歳)が増えています。その数は、1980年では39万人でしたが、いまでは305万人にまで数が増加しています。さらに、その失業率は10.4%と同世代の平均の2倍以上になっています。

調査にあたった総務省の研究官は危機感を募らせています。親が万一の状態に陥った時には、共倒れになってしまう危険があると指摘します。今後、5年10年でこのような事案が大量に発生する可能性があるといいます。

本来ではあれば、子どもたちと同居することで生活が安定するのですが、失業などの理由で収入を得られない子どもを親が年金収入で支えることで、さらに苦しい状況へと陥る高齢者が増えているのです。

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子どもとの同居による老後破産

年金だけでは暮らしていけず、医療や介護などを切り詰めるなどギリギリの生活を送っている高齢者を老後破産といいます。これまでは一人暮らしの高齢者が病などで倒れ、支える家族がいないために老後破産となるケースがありましたが、さらに調査を進めると支えてくれるはずの子どもと同居することで高齢者が老後破産に陥るケースがあることがわかりました。子どもと同居すれば老後は安心できるとかつては思われていました。しかし、いま同居したことでますます破産状態に追い込まれてしまう新たな老後破産が増えて来ているのです。

問題の背景には|不況と非正規雇用

その背景にあるのが働く世代の所得が減り続けているということです。90年代後半から平均所得は減り続け年間所得は100万円あまり減少しました。所得が減った理由は、20年にわたる不況と非正規雇用の増加です。非正規雇用は年々増え続け、いまでは雇用全体の約4割を占めるようになりました。所得が少ないことや仕事が不安定なため、親と同居しても暮らしは安定せず、結果的に親子共倒れともいえる、厳しい状況の追い込まれてしまうのです。


札幌市の安田義昭さん(80)のケース

札幌市の団地に暮らす安田義昭さん(80)は、45歳の息子が失業し、同居することで生活が苦しくなりました。息子と同居する前の義昭さんの収入は年金9万5千円でしたが、それだけで生計を立てていくことができず、生活保護で家賃や医療費の保護を受けていました。

しかし、息子の昭男さんが戻ってくることで状況は一変します。働く世代の子どもと同居していると生活保護は原則受けられません。義昭さんは、生活保護が打ち切られたことで、免除されていた家賃や医療費を負担しなければならなくなったのです。新たに増えた負担は3万円、義昭さんの年金は次の支給日前に底をつきます。さらに、4年前に脳梗塞を煩った義昭さんは、再発を防ぐ為には血圧を下げる薬を毎日飲む必要がありますが、1ヶ月の医療費3000円を支払う余裕がありません。

苦肉の策|世帯分離

高齢者の介護や見守りの拠点「地域包括支援センター」で、親子が同居したままでは救済ができず命にかかわる恐れがある場合に行っているのが世帯分離という手段です。

働く年齢の子どもと同居していると、子どもの収入が少なく生活が苦しくても生活保護はなかなか受けられません。そこで、親に高齢者施設に移ってもらい親子の世帯を分離します。働くことが難しい高齢者の場合は生活保護を受けることができます。一方、子どもには就労支援をして自立を促します。

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専門家の指摘

放送大学教授で家族社会学が専門の宮本みち子さんは、親の年金を頼って親と同居する中年の世代が増えている現状を放置すれば、今後、老後の負担を行政が背負う税金を使って親子をサポートする時代がやってくるといいます。

青山学院大学教授の榊原英資さんは、問題の背景として正社員と非正規社員で働く所得の格差を問題視しています。正社員の場合、年齢に応じて給料は上がり、中高年になると安定した所得が得られます。一方で非正規で働く人は年齢を重ねても所得は上がりません。ちょうど親の介護を担う年齢になったとき、非正規で働く人たちは、正社員と比べて不安定な状況にあるのです。非正規雇用の問題は国が政策を打ち出さない限り、増えていくのはやむを得ない状況にあると指摘します。

最悪のケース|岩手県奥州市

子どもがいれば大丈夫だろうと周囲も行政も気がつかないまま最悪の結果となったケースがあります。2014年1月、岩手県で親子の遺体が自宅で発見されるという痛ましいニュースがありました。高齢の母を介護していた無職の息子、二人きりで暮らしていました。

亡くなったのは、佐藤ミツさん(享年91)と息子の武さん(享年64)です。生活の糧は母親の年金でした。体調が悪くても病院に行くことができなかった武さんは突然倒れそのまま亡くなりました。ほとんど寝たきりだった母親のミツさんは助けを呼ぶことができずその後凍死してしまいました。

これは、親子で暮らしていても生活に行き詰まってしまうというかつて想定していなかった事態です。行政側も息子と同居をしていたために見守りを必要とする家庭とは考えていませんでした。

一方、武さんは、弟や友人たちに、一切介護の愚痴や金銭面での困窮を訴えることがなかったため、周りの人も武さんの苦境に気がつくことができなかったといいます。親子で暮らしていれば安心だというこれまでの常識は、いま崩壊しつつあるのです。
posted by CYL at 17:59 | NHKスペシャル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月23日

NHKスペシャル|政治の模索〜第2回豊かさの分配〜

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NHKスペシャル|戦後70年ニッポンの肖像


政治の模索
第2回”豊かさの分配”その先に


いま国と地方の借金が1000兆円を超え、日本は財政再建が大きな課題となっています。かつて政治の力で豊かさを全国に行き渡らせようとした時代がありました。庶民宰相と呼ばれ、地方に道路や鉄道網を広げた田中角栄です。公共事業によって豊かさを全国に分配するシステムを確立しました。

しかし、その後政治は混迷の時代へと入っていきます。好調だった経済にも陰りが見え始め改革が迫られました。そのとき、政治が直面したのは田中が築きあげたシステムでした。豊かさの分配を進めた日本政治、その先に待っていた変革の時代を見つめます。


田中角栄|公共事業による富の分配
新潟県魚沼市はかつての田中の選挙区です。雪深い地方にも政治の力で豊かさを届けるという信念が田中を動かしていきます。田中は都市部に集中していた予算を公共事業によって地方に分配していく政策を打ち出しました。

田中が、1972年に発表した日本列島改造論は、都市と地方を鉄道や道路で結び、各地に工場を建設することで”国土の均衡ある発展”を目指すという構想でした。そして、打ち出された計画は前例のないものでした。高速道路網は、当時の総延長710キロから1万キロへと拡大し、新幹線網は730キロから9000キロ以上へと延ばす計画でした。

列島改造論を官僚が支持した背景には、確かな財源がありました。田中が、無名の時代から作り上げてきた30本を超える議員立法の半数近くは国土開発の財源に関するものでした。そのひとつが、ガソリンに税金を課し、道路開発の特定財源とする法律です。(道路整備費の財源等に関する臨時措置法(1953年))ガソリン税として徴収される特定財源は、自動車の普及とともに急増し、列島改造を推し進める原動力となっていきました。

田中の東京目白の邸宅には、全国から公共事業の誘致を求める人たちが集まり、それが権力の基盤固めに繋がっていきます。多い日には200人以上の陳情に耳を傾けました。

田中角栄|社会保障による富の分配
田中は総理大臣に就任した翌年の1973年、新たな分配政策を打ち出します。福祉元年と呼ばれる社会保障の充実です。当時、革新政党の勢力拡大を警戒した田中は、70歳以上の医療費を無料化し、さらに年金の給付水準を引き上げました。財源については税収増でまかなうとしました。その後、田中は政治と金の問題を巡り2年あまりで退陣しましたが、高度成長を背景に築き上げた分配のシステムは後の政治に引き継がれていきました。

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小泉純一郎|公共事業削減
国民の支持を背景に、田中派の流れを汲む橋本龍太郎を破ったのは小泉純一郎でした。内閣発足時の支持率は戦後最高となる81%でした。派閥からの大臣を受け付けず、民間から大臣を起用するなど従来にはない手法で政権をスタートさせました。

当時、国と地方の債務残高が600兆円を超える中、小泉がまず取り組んだのが公共事業の削減でした。田中政治の特徴であった道路でした。小泉は、日本道路公団の民営化を打ち出します。毎年決められていた3000億円の国費の投入を止めるとともに、採算の見込みがない高速道路の建設見直しを宣言しました。

道路公団の民営化には自民党内から反発の声があがります。”道路族”と呼ばれる議員たちでした。彼らの主張は、「道路は災害や防災の役割を担う復興復旧の時の命綱で、国民を暮らしを守るもの。それを民営化するということは到底できない」というものでした。

このときの世論調査では、7割の国民が道路公団の民営化を評価していました。小泉は国民の支持を得て民営化を決定しました。その結果として、田中政治の象徴であった道路への投資額は約3割削減し、公共事業全体として2兆円以上削減しました。その一方で必要な道路については国が直接関与する仕組みが新たに作られました。

小泉純一郎|医療費患者負担引き上げ
分配政策を見直す小泉のもう一つのターゲットは社会保障でした。毎年1兆円ずつ増加し、歳出全体の25%近くを占めるまでになっていました。小泉は医療費の患者負担を引き上げるなど見直しを進めます。

派閥の弱体化
さらに自民党のこれまでの政治システムを大きく壊すことになったのが、2005年の郵政選挙でした。小泉は郵政民営化法案が否決されると衆議院を解散します。法案に反対した人は公認せず、刺客と呼ばれた対立候補を次々と送り込み、選挙で大勝を治めました。こうした中で弱体化したのが、自民党政治の象徴であった派閥でした。

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政権交代|民主党
民主党政権が打ち出したのは、低成長時代に合わせた新たな分配方法でした。政治公約のマニフェストに掲げられたのは、限られた予算を組み替え、子ども手当や高校授業料の実質無料化などを実現させることでした。

”コンクリートから人”へという民主党の掲げた目標にある”人”とは、未来に向けた投資を表します。従来型の公共事業から未来志向の投資として人材などを含めた投資へ軸足を移していくべきだと考えていたのです。

課題は財源確保
新たな分配を実現するための課題となったのが、財源の確保でした。その象徴となった場所があります。群馬県長野原町で建設されていた八ッ場ダムです。現在、5年後の完成を目指し建設が進んでいます。民主党が打ち出した八ッ場ダムの建設中止は大きな壁に直面します。地元住人らが民主党政権の方針に激しく反発したのです。

高度成長期に各地で建設された巨大ダムの建設ですが、そもそもなぜ住民は建設を受け入れることになったのでしょうか。それに関わっていたのが田中角栄でした。田中は地元住民を納得させるための仕組みをつくっていました。多くの水を利用する下流の自治体が、地元住人の生活再建費を負担するというものでした。(水源地域対策特別措置法(1973年))

当時は各地でダム建設の反対運動でしたが、法律の制定後、次第に反対運動は下火になっていきました。さらに下流の自治体は、生活再建費だけでなく、莫大なダムの建設費も負担してきました。そのため400億円以上を支払ってきた東京都は激しく反発します。

結果的に民主党が分配政策の財源となるとみていた八ッ場ダムですが、その建設を止めることはできませんでした。

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暫定税率の廃止叶わず
新たな分配とともに民主党が打ち出していた政策に生活者の負担軽減があります。その一つがガソリン税などの暫定税率の廃止でした。暫定税率は、田中政権のときに、道路特定財源としてはじまった仕組みです。民主党は野党時代から暫定税率が家計を圧迫しているとして廃止を訴えてきました。

しかし、民主党は初の予算編成で2兆円もの財源不足に直面します。不足分は2兆5千億円ある暫定税率による財源に頼るしかありませんでした。マニフェストに掲げた公約の多くを断念し、民主党は、目指してきた低成長時代の新分配法は3年あまりで挫折してしまいました。


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