
カンブリア宮殿|
島精機製作所社長 島正博(78)
島精機製作所社長 島正博(78)
セーターが丸ごと編み上がる
世界が驚愕する「魔法の機械」
無縫製編み機「ホールガーメント」
和歌山市にある島精機製作所に、78歳のスーパー開発者がいます。島精機製作所の代表を務める島正博さんです。島さんが開発した無縫製編み機「ホールガーメント」はファッション業界に革命をもたらす世界初の製品です。
縫い目が全くないニットを作ることができる編み機は、世界的に有名なブランドであるベネトン、プラダ、グッチなどで使用されており、それらの商品がメイドインイタリーとして出荷されています。
天才発明少年
1937年和歌山県生まれの島さんは、父親が7歳の時に戦死しため、母親によって育てられました。小さな頃から色々なことを考えては自分で作る工作好きな少年でした。16歳の時に転機が訪れました。きっかけは母親が内職でしていた手ぶくろの繕い仕事でした。当時は手首の部分が分かれていて、それを縫い合わせていたのですが、とても時間がかかりました。その仕事ぶりを見た島さんは、「何て効率が悪いんだ。俺が何とかしてやろう」と発明少年の魂に火がつきました。
その頃、近所の工場でアルバイトをしていた島さんは暇を見つけては手ぶくろを縫い合わせる機械作りに没頭しました。そして出来上がったのが手ぶくろ専用のミシンでした。その後、定時制の工業高校を卒業すると1962年、24歳で自分の発明を生かすため島精機製作所を立ち上げました。

エジソンを超えた?!
島さんが取得した特許の数はなんと600件以上を数えます。発明の数では1100件だという島さんは、すべての発明が特許を取ることができれば、かの有名な発明王のトーマス・エジソンが持つ1089の特許を超えると言います。今でも現役の島さんの机があるのは社長室ではなく、開発部の中。エジソンを超える日がやってくるかもしれません。