2015年06月22日

夢の扉+|関西大学 化学生命工学部教授 河原秀久さん(53)


夢の扉|関西大学河原秀久さん「凍らせない冷凍」.jpg



夢の扉+|
関西大学 化学生命工学部
教授 河原秀久さん(53)

味・鮮度・食感キープ
凍らせない冷凍


夢「自然の力で冷凍の常識を変える」

河原さんは、氷点下でも凍らせない技術で冷凍の常識を変えようとしています。そんな技術の鍵は極寒の地に生きる生き物が持つ自然界を生き抜く力にありました。日本発の冷凍技術が私たちの生活を変え、世界を変える日も遠くないはずです。

冷凍保存の敵「ドリップ」

冷凍保存の最大の敵は、味を落とし食感を悪くする「ドリップ」です。冷凍したものを解凍すると出てくる水分がドリップです。なぜドリップがでるのか?そのメカニズムは、まず食材の中にある水分が凍ります。そして次第に氷の結晶が大きくなり食材の組織を破壊します。解凍しても壊れた組織はもとに戻らないため、壊れた組織の隙間から水分と旨みが流れでてしまうのです。これが食感を悪くして味を落とす原因となります。

夢の扉|冷凍保存.jpg


河原さんの冷凍技術

河原さんの技術を使って冷凍したものは、ドリップがほとんど出ません。その鍵は植物由来の液体にあります。植物由来の液体は、ドリップの原因とされる氷の結晶の大きさを小さくする働きがあります。氷の結晶が小さいために、食材の組織を破壊することがありません。そのためドリップが少なくなり、食感と味の劣化を防止することができます。河原さんの開発した技術はすでに50種類以上の冷凍食品で使われており、その功績が認められ、2015年4月文部科学大臣表彰の科学技術賞を受賞しました。


技術開発のヒント|極限の地を生きる生物

氷の結晶を大きくさせない河原さんの冷凍技術ですが、そのヒントは極限の地に生きる生き物にありました。河原さんが案内してくれて東京江戸川区にある葛西臨海水族園にその生き物がいました。水温が零度以下でも凍らずに生きる南極の海に生息する「ジャノメコオリウオ」です。自らの体を凍らせないために、生き物たちは特殊な物質を体内にもっているのです。

人は暖を取ることで寒さから身を守ることができますが、他の生物たちはそれができません。そのため、我が身を凍らせない働きをもつタンパク質や糖類、脂質を体内にもっています。河原さんはこうした生き物の性質を研究に活用しているのです。「特殊環境で生き抜いている生物は驚くような機能を持っている。非常に注目すべき題材ではないかと常に研究している」と河原さんは語ります。

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凍らせない冷凍

現在、河原さんが取り組んでいるのは、”凍らせない冷凍”という究極の冷凍方法です。実験では、通常、牛乳を凍らせると味が薄くなり、舌触りが悪くなるのですが、マイナス5度で2週間凍らせずに保存した牛乳は人間の舌で確かめてもまったく普通の牛乳とかわらない味がしたといいます。(機械ではかるより人間の舌が一番わかるといいます。)「売れ残った牛乳は廃棄をかなりしているので、長い期間保存できるのはメリットが大きい」と河原さんは語ります。

ヒントはアラスカに

凍らせない冷凍技術は、アラスカに住んでいる甲虫がヒントになったといいます。冬のアラスカでは気温がマイナス50度にもなります。そんな環境の中で生きているのがアラスカ甲虫です。我が身を守るため、凍らない物質「キシロマンナン脂質」という脂分をもっています。河原さんは、アラスカ甲虫がもつ凍らない物質で冷凍技術を変えることができると考えました。

しかし、アラスカ甲虫を捕獲することも育成することもできなかった河原さんは似たような化合物を探すことにしました。地球上でアラスカ甲虫にしかない脂分とまったく同じでなくても、効果が同じものはないかと発想を転換したのです。そしてあらゆる文献を調べ、似た物質をキノコの中に発見しました。

その後、河原さんは16種のキノコを集めて1年間分析をしました。その結果辿りついたのが「エノキタケ」でした。幸運だったのは、エノキダケが一番生産量が多く、値段が安いことでした。室温5度で栽培されるエノキタケは他のキノコに比べて寒さに強く、凍らないための物質を多く含んでいたのです。エノキタケから抽出した天然物質は安心安全です。

「不凍多糖」誕生

河原さんは、エノキタケから抽出した物質を「不凍多糖」と命名しました。氷の研究をはじめてから18年、新たな”夢の扉”を開けた河原さんは研究についてこう語ります。「研究は考えることをやめるとストップしてしまう。出てきたデータをダメだとネガティブに考えるとまたストップしてします。だから研究はつねに考えて好奇心旺盛にものを探していく。」

現在は生野菜を「不凍多糖」を用いて凍らせない冷凍の研究を行っています。マイナスの温度でも凍らずにみずみずしさを維持することが課題となっています。「凍らない状態で保存ができれば(日本の農作物の)輸出が可能になる」と河原さんは語ります。(日本の農作物の輸出に関連する記事:放置された竹と捨てられるお茶から作られた青果物鮮度保持剤「タンカフレッシュ」)


不凍多糖|応用.jpg


「医療・食・住」のために

「不凍多糖」で人間の生活に密着した「医療・食・住」に役立つことを目標としている河原さんの研究は「住」の分野でも進んでいます。2014年12月に起きたエアアジア機墜落事故の原因は氷だといわれています。飛行機に翼についた氷は、精密に設計された翼において、たとえ氷が2-3mmの厚さであったとしても飛行に影響を与えてしまいます。そこで翼に「不凍多糖」をコーティングすることで翼に氷が付着することを防げるのではないかと考え、JAXAとともに実用化に取り組んでいます。

また、その応用として、氷の着かない信号機や雪の積もりにくい屋根材を開発し、住環境を変えたいと河原さんは考えています。さらに医療分野では、臓器の長期保存を可能にすることで現在移植のリミットとなっている24時間のという時間の壁を低くしたいと考えています。長期保存が可能になれば、ドナーと移植患者の適合性を探せる可能性もまた高くなることでよりよい移植手術が可能になります。

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驚き!こんなところに生きる動植物

アフリカのナミブ砂漠に自生している植物「キソウテンガイ」は、とんでもなく長生きなのです。推定2000年生きるといわれている化石植物で、砂漠という水分が少ない地域で生きるため、10m以上の地下に根を伸ばして水分を得て生きています。

太陽の光の届かない深海、しかも300度の熱水がわき出る過酷な環境の暮らすのがゴエモンコシオリエビです。熱水には猛毒の硫化水素が含まれていますが、それをエネルギーにする微生物を食べて生きています。



冷凍に関連する記事
未来世紀ジパング|日本の魚を海外に〜支える技術(ナノ水、ノバフレッシュ、CAS付き冷凍庫)〜

がっちりマンデー|”一芸家電” ダイレイの業務用冷凍庫



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2015年06月15日

夢の扉+|自然エネルギー中心の社会を作る|阿部力也さん、秋田智司さん

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夢の扉+|自然エネルギー中心の社会を作る
阿部力也さん、秋田智司さん




電気の”おすそわけ”で世界を変える1
日本独自のエネルギーで自立


自然エネルギーを中心としたエネルギー制約のない社会をつくりたいと語るのは、東京大学大学院特任教授の阿部力也さん(61)です。世界100か国以上の国・地域から、招待された主要企業の経営者、国家元首や閣僚などの政治家など、2000〜3000人が参加するダボス会議に阿部さんがスピーカーとして招待されました。それは自然エネルギーの問題点を阿部さんの技術が解決するかもしれないからです。

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「デジタルグリッドルーター」
自然エネルギーの代表格の太陽光発電は、太陽のエネルギーは無人そうですが、いかんせん天候に左右されるため、その発電量が不安定なことが大きな問題です。そんな問題の解決のために阿部さんが開発したのが、「デジタルグリッドルーター」です。
各施設や家庭につけれたルーターが協調し電気を融通し合うという仕組みです。例えるなら昔懐かしい”おすそわけ”です。つまり電気を作りすぎたらおとなりさんへおすそわけをする仕組みです。

ルーター間で自由に電気をやりとりできるので、たとえば、平日の昼間は電力需要が少ない家庭から会社へ電気をおすそわけし、休日は会社でつくった電気を家庭におすそわけといった具合です。もし、この仕組みが実用化されれば、現在、中東の石油や天然ガスなど外国の資源に依存している日本のエネルギーですが、日本独自のエネルギーで自立をすることも夢ではありません。



電気の”おすそわけ”で世界を変える2
未電化地域に電気を供給する


現在世界には電気がない生活を送っている人々が13億人いるといわれています。そんな未電化地域のひとつアフリカのケニアで阿部さんが関わるもう一つのプロジェクトがあります。

ケニアの電気の普及率は5%とほとんどの地域が電気のない未電化地域ですが、ケニアの携帯電話の普及率は70%を超えています。有名なマサイ族にとっても携帯電話は遊牧にかかせない生活必需品になっています。そんなケニアの村には携帯電話の充電をサービスをする店がありますが、その数は圧倒的に少ないという問題があります。携帯電話の充電問題を解決し、電気のランプを人々に貸し出す事業を阿部さんと同じ夢を追いかける若者が行っています。

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「充電キオスク」
デジタルグリッドソリューションズ社長の秋田智司さん(34)は、阿部さんともに夢を追いかけている仲間の一人です。阿部さんの技術「デジタルグリッドルーター」を使って、携帯電話の充電と電気のランプを貸し出すサービスを行う「充電キオスク」をアフリカに広め電気のない人々へ電気を届けようとしています。

その仕組みは、お客がまず必要な電気の分だけ料金を電子マネーで支払います。すると「充電キオスク」のオーナーのスマートフォンを通してデータセンターに情報が送られます。データセンターからお店の蓄電器に情報が送られ、充電器からお客に料金分の電気が供給される仕組みです。電気の発電には太陽光発電が用いられます。

事業を始めたきっかけ
2015年5月現在「充電キオスク」は、ケニア5カ所、タンザニア8カ所に設置されて未電化地域に明かりを届けています。事業の中心を担う秋田智司さん(34)は、学生時代、恵まれない人を救おうとアフリカでボランティアを行っていました。そこで学んだのは、現地の人々は、援助ではなく自分たちで村を豊かにしたいと願っていたことでした。30歳のとき、アフリカに仕事を作ろうと勤めていた外資系企業を辞めました。そのとき阿部さんの技術と出逢ったのです。

阿部さんは秋田さんの熱意に押され2013年にケニアを訪れました。村には援助でつくられた立派な太陽光発電がありましたが電気が村に普及することはありませんでした。電気のない地域に電気のランタンで明かりを届けたいと考えた阿部さんでしたが、寄付ではなくビジネスとして電気のランタンを貸し出す方法はないかと考えました。寄付ではなくビジネスでと考えたのはわけがありました。寄付だとそれきりになってしまいますが、ビジネスであれば現地の人々の自立につながると考えたからでした。そこで辿りついた結論が、電気の量り売りビジネスと電気のランタンを貸し出すというビジネスの組み合わせでした。

秋田さんの背中を押したことば
アフリカの人達が自立できるサービスに辿りつきましたが、もっと準備をすべきだと考えた、秋田さんは一歩を踏み出せないでいました。そんな秋田さんの背中を押したのが阿部さんがかけたことばでした。「そこに電気を待っている人がいるならやってみよう。前のめりでいこう。」

阿部さんはジェットコースターで一番怖い乗り方は腰が引けて背もたれに背中をつけて乗ることだといいます。怖くても前のめりになって乗ると拍子抜けするくらい怖くない。つまり、腰を引くから怖い、だったら前のめりで行こうと伝えたのです。秋田さんは家族を連れてアフリカに移住する覚悟を決め、現在活動を続けています。


”腰を引くから怖い 前のめりで行こう”







色々な発電方法

田んぼ発電
東京薬科大学 渡邉一哉教授
稲が光合成をしてつくった有機物を根から放出。土の中にいる微生物が有機物を電気に変えるという発電方法。

宝石発電
広島大学大学院先端物質科学研究所
宝石が熱を電気に変えるという発電方法。発電する鉱石テトラヘッドライトを人工合成に成功しました。アメリカの火星探査機”キュリオシティ”に宝石発電が使われています。宝石発電の売りは丈夫で長持ちすることです。
posted by CYL at 16:18 | 夢の扉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2015年06月07日

「夢の扉+」水に浮かぶ電気自動車 FOMM社長 鶴巻日出夫さん(53)



「夢の扉+」 水に浮かぶ電気自動車


FOMM 社長
電気自動車設計開発者 
鶴巻日出夫さん(53)


鶴巻さんが代表をつとめるFOMMはスタッフ7人のベンチャー企業です。「小型電気自動車で地球環境を守りたい」と新車開発に取り組みます。

鶴巻さんが開発する新車の主な特徴

幅130cm 全長250cmの小型電気自動車
世界最小クラスの4人乗り
アクセルとブレーキがハンドルに
モーターが前輪に
水に浮いて移動する

鶴巻さんが開発に取り組む超小型EV(電気自動車)は世界で開発競争が行われていますが、ほとんどが1人乗りか2人乗りです。鶴巻さんが開発する新車は4人乗りです。そして、操作方法がまた画期的です。車内スペースを確保するためアクセルとブレーキがハンドルについていて、その操作方法はまるでバイクのようです。また、普通の自動車のエンジンにあたるモーターが前輪に取り付けてあります。

そして最大の特徴は、水に浮いて移動することができるのです。ゲリラ豪雨や台風の災害時には強い味方になってくれます。

なぜ水に浮くのか

通常の車は、ボディーの穴や隙間から水が入ってしまうのですが、鶴巻さんが開発した車は、バスタブのような密閉構造のためドアを閉めると水が入らないという仕組みです。実験では4人の男性が乗車して車体と合わせて820kgの車が水面を進んでいました。浮くだけでなく進むのには訳があります。それはタイヤについているモーターが水を吸い込んで後ろにはき出すことで前に進む推進力を生み出しているのです。

創業初日にトラブル

かわさき新産業創造センターというベンチャービジネスの拠点に鶴巻さんの会社があります。鶴巻さんは、大手自動車メーカーで30年間にわたりバイク・電気自動車の設計一筋に生きてきましたが、2年前独立を決めました。創業初日に出資者から「やっぱり出資できない」と電話があり、あてにしていた千数百万円が創業初日にして消えてなくなってしまったのです。資金集めに奔走しましたが、企画書1枚では誰も出資してくれませんでした。

鶴巻さんはともかく車を作るしかないと考え試作車をつくりましたが、部品メーカーに払うお金がなくて支払いを待ってもらってもらうため頭を下げました。そんな中「おもしろいですね。融資しましょう」と1億円の出資の申し出てくれた出資者が現れたのです。

ある人の一言が開発のきっかけ

鶴巻さんの実家は、海岸から近いため地震の際に津波の危険があるとされています。足が悪い鶴巻さんの母親が言った「津波がきたら逃げない」と言葉を聞いて何とかしたいという思いにかられました。水に浮く車があればもしかしたら助かるかもしれないと考えたのです。

まずはタイで実績づくり

鶴巻さんは、まずはタイで水に浮く車の実績を作ろうと考えました。その訳は、熱帯特有の豪雨スコールは日常茶飯事で街が洪水になることも珍しくないタイでは、住民は洪水で困っているため、水に浮く車があれば役立てると考えたのです。

もうひとつの理由は、タイの交通渋滞をコンパクトな電気自動車で解消をしようと考えたのです。タイを最初の地に選んだのは、”日本の技術を囲い込むよりも、よい技術は提供すべき”という鶴巻さんの考え方も一番役立てる場所、それはタイという発想につながったのでしょう。

タイで試乗会

億単位をかけてつくった2台目の試作車を途中トラブルを抱えながらも完成させた鶴巻さんは、地元タイの泰日工業大学で試乗会を開きました。ハンドルは飛行機の操縦桿スタイルに改良しアクセルを操縦桿の両脇に設置しました。そして、タイで認可が下りやすいようにブレーキは足下に設計し直しました。車の最高時速は85km、最大航続距離150kmです。試乗したタイの政府高官からもタイでの実用化に向けて期待がもてる前向きな感想をもらうことができたようです。

鶴巻さんの言葉

世の中にない物が出たらおもしろい 
同じことをやっていてはダメ、違う発想を持つ



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2015年05月31日

「夢の扉+」JAXA藤井孝藏さん(63)空気を操る魔法の装置


夢の扉+ 空気を操る魔法の装置

JAXA宇宙科学研究所
工学博士 藤井孝藏さん(63)


最先端の宇宙航空技術を誇るJAXAの研究者の藤井孝藏さん(63)が開発するのは、空気を操る魔法の装置です。薄さ0.1mmの装置を貼るだけでエアコンの性能がアップしたり、 電車の風圧を弱めたり、風力発電の効率を上げたり、車の燃費向上に貢献したり快適な未来を切り開く魔法の装置として現在期待が高まっています。

藤井さんは、世界最速603kmを記録したリニアモーターカーの車両が受ける風や空気の流れを詳細に分析し、流体力学で貢献しています。JAXAでは火星探査飛行機の研究にも担っています。

プラズマアクチュエーター

空気を操る魔法の装置の名前は、プラズマアクチュエーターといいます。装置と言っても厚さ0.1mmほどのとっても薄いものです。後付けで貼るだけでその効果を発揮するのが特徴です。

実験では、飛行機の翼にプラズマアクチュエーターを貼ると空気の流れの変化を観察することができます。プラズマアクチュエーターがない状態では、気流が翼から離れて流れていたものが、プラズマアクチュエーターを装着し作動させると気流は翼に沿って流れ出します。それはつまり上向きの力(揚力)が働きより安定した飛行を可能にすることを意味します。

プラズマアクチュエーターの原理は50年前に考案されたものです。それを実用化しようとしているのが藤井さんです。プラズマアクチュエーターの仕組みは、絶縁体につけられた薄い2枚の電極に電圧をかけるとプラズマが発生し、プラズマが乱れた空気を引きつけるのです。


応用範囲は広い

風力発電は、風量や風向きに左右されて不安定という問題があります。東芝が開発している小型風車にプラズマアクチュエーターを取り付けると風力は同じでも回転数はプラズマアクチュエーターをつけてない時に比べて10倍になりました。

静かな換気扇にエアコンの省エネ化など翼型のものにプラズマアクチュエーターを取り付けることで空気のながれをコントロールすることができます。また、喫煙の煙を周りに流さない装置や列車の通過時に起こる風を列車にプラズマアクチュエーターをつけることで弱めることができるかもしれません。


自動車への応用

走行中の車の後方で空気はうずを巻きます。うずは燃費を悪くする原因になっており、プラズマアクチュエーターでスムーズな空気のながれをつくる試みが行われています。自動車会社のマツダの担当者はデザインを劇的に変える可能性をプラズマアクチュエーターは秘めていると語ります。

いままでの自動車の設計はデザイン優先させるか、空気抵抗を下げることを優先させるかというデザインと空気抵抗の鬩ぎ合いでした。しかし、プラズマアクチュエーターが実用化されると空気抵抗の低減と自由なデザインを両立することが可能になります。


エリートコースを歩んできたが

東京大学から航空宇宙研究所へ入所し、1981年にはNASAに留学しはじめてスーパーコンビュータに触れ、優れた研究者たちと出会いました。その後、藤井さんは流体力学の分野で数々の功績を挙げ、世界に認められる研究者となりました。

しかし、何か物足りないと感じて藤井さん。その原因が研究が暮らしに結びついていないことにあると気がつきました。そして、図書館でみた流体力学の父ルートヴィヒ・プラントルが70年以上前に書いた論文に、すでにあらゆる理論が書かれており流体力学のすべてがそこにあったことに驚愕しました。” 70年前から一歩も進んでいない”と。そう感じた藤井さんは、”未来が変わるような新しいことをやらないといけない”と感じました。


行き着いた信念

「wish it, dream it, do it !」は藤井さんが行き着いた信念です。夢を描いて、形にとしてイメージして、それで終わらずに具体的にそれを実現する。まずは前に進めて、その中から解決策を見つけていくというやり方です。

形やデザインで空気抵抗を減らすのは限界といわれているいま、後から取り付けるだけで空気の流れを変えることができるプラズマアクチュエーターに大きな期待がかかっています。

おまけ
空気抵抗を減らすために、自転車の選手はすね毛を剃ってレースに臨むそうです。研究データでは実際にタイムが縮まるという結果が出ています。また、ゴルフボールには無数の小さな窪みがありますが、それらはディンプルといって空気抵抗を減らす効果があり、ボールをより遠くへ飛ばすことができるのです。



posted by CYL at 22:57 | 夢の扉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2015年05月25日

「夢の扉+」久留米大学医学部教授 山岸昌一(52)


夢の扉+ 
久留米大学医学部教授 山岸昌一(52)



これまでシミやシワなど老化の原因は活性酸素とされてきましたが新たな物質が明らかになりました。それは、終末糖化産物(AGE)という物質です。久留米大学医学部教授 山岸昌一(52)は、AGEの研究の第一人者です。山岸さんは体内に蓄積するAGEを取り除く物質を世界ではじめて発見しました。


AGEとは

人間の体をつくる主な成分はタンパク質です。試験管の内部にタンパク質をいれて人体に見立てます。そこに糖を加えます。人間でいえば食事をとって体内に糖が増えた状態です。そして人間の体温と同じ37度で1週間保存します。1週間後、もともと無色透明だったタンパク質が茶褐色に変色しています。これがAGEで、タンパク質と糖が結びついて体温でコゲてできるのがAGEです。

AGEは体内で蓄積されていきます。茶褐色のAGEはシミの原因となり、タンパク質の一種であるコラーゲンがAGEになると弾力が失われ、たるみやシワの原因になります。体内の糖が多い、つまり血糖値が高い人ほどAGEが多く作られます。

血管のコラーゲンがAGEになり硬くなると脳梗塞、心筋梗塞の一因となり、骨のコラーゲンが硬くなると骨粗鬆症の一因になります。また脳に溜まったAGEはアルツハイマー病の一因になるという説もあります。

AGEを食べている?!

AGEは体に蓄積されるだけでなく、知らず知らずに食べています。水を使わずに高温で調理する食べ物にAGEが多いのです。その代表はカリカリベーコンです。山岸さんは現在料理研究家と一緒にAGEの少ないメニューの監修を行っています。

AGE量
しゃぶしゃぶ<ステーキ
ゆで卵<スクランブルエッグ<目玉焼き
刺身<焼き魚

食事の仕方によってはAGEの生成を避けることができます。たとえば、食事をする順番を野菜→おかず→ごはんとすれば、血糖値の急上昇を抑えAGEが生まれにくくなります。

また食物繊維が多い海藻や野菜は糖質の吸収を緩やかにしAGEの発生を抑える効果があります。トマトやほうれん草に含まれるαリポ酸には、AGEの蓄積を抑える効果があります。AGEの蓄積を抑える効果としてさらに強力なのがスルフォラファンでブロッコリースプラウトに含まれています。

医師を目指すきっかけ

山岸さんの研究室には「忍耐」の書が飾られていました。野口英世博士が日本へ凱旋帰国講演を行った際に書いた書だといいます。野口英世博士は16歳のとき手術を受けたことを機に医師を志しました。同じような経験が山岸さんにもありました。

高校2年生のとき山岸さんは、突発性血小板減少性紫斑病という出血をすると血が止まらない難病を発症しました。そのとき山岸さんは、出血を止めるホルモン剤を飲むしかなく、有効な治療法を見つけられない医師に憤り感じていました。そんなときひとりの医師との出会いがありました。その医師は脾臓を取るという手術を提案しました。「君の病気は治らないものじゃない」という医師の言葉を信じ手術に踏み切りました。手術は成功し、手術をしたその日から病状に対する成果が現れました。山岸さんは、そのとき医学部進学を決めたのです。

以来25年山岸さんは誰もより早く出勤し、9時からはじまる外来患者の診察前に論文の作成や研究データの整理などを行います。これまでわずかな時間をつかって書いた論文は500にもなります。休みの日も休んでいないといいます。1月1日の元旦さえも。


世界初AGEを取り除く物質発見

注目したのはアプタマーと呼ばれる物質です。体内にある白血球は異物を除去する働きをしますが、白血球がAGEを除去することはありません。しかし、アプタマーとAGEが結合すると白血球はAGEを除去するのです。山岸さんはそこで仮説を立てました。AGEにくっつくアプタマーがあれば体内のAGEを減らせるのではないかと。

100兆個分の1

アプタマーと呼ばれる物質の数はなんと100兆個ありました。山岸さんはその中からAGEだけにくっつくアプタマーを見つける作業に取り組みました。その方法は、AGEがついたフィルターに100兆個のアプタマーを流すというものでした。AGEにくっついたアプタマーはフィルターに残りその他は下に流れ落ちます。同じ作業を繰り返し、より強くAGEにくっつくアプタマーを探しました。最終的に残ったのが2つのアプタマーでした。山岸さんは2つを分析して1つに絞り込み、マウスで実験を行いました。マウスの腎臓にあるAGEにアプタマーを投与するとAGEが減ったのです。仮説が証明された瞬間でした。研究開始から20年以上耐えて続けてきた結果でした。「堅忍不抜」、それは青春時代をベッドの上過ごした山岸さんの哲学です。


ヒトの血液からAGEを取り除く

腎臓機能を人工的に代替する人工透析は、血液の老廃物除去を行い再び患者の体内に血液を戻します。人工透析の装置にアプタマー入りのフィルターをつけることで老廃物を取り除いた血液からさらにAGEを取り除きより綺麗な血液を体内に戻すことを2年以内をめどに目指しています。さらに山岸さんは5年以内にアプタマーでAGEを減らす薬の開発を目指しています。



posted by CYL at 18:45 | 夢の扉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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