2017年06月12日

オイコノミア|もしもあなたが難病になったら

f3340222d3fb3c900dc10564a25f44c6_s.jpg


オイコノミア|もしもあなたが難病になったら

オイコノミアとは、経済学を意味するエコノミクスの語源となった古代ギリシャ語です。経済学とは、お金儲けの学問ではなく、人々がどのように生きれば皆で一緒に幸せになれるのかを考える学問です。

今回は、難病について経済学から考えてみましょう。世界に難病は5,000種類以上ありますが、その中で日本で難病指定されている病気は330種。その患者数は約92万人にもなります。

明治学院大学特別研究員の大野更紗さんは、皮膚筋炎及び筋膜炎脂肪織炎症候群という難病の経験者です。難病を突然発症した大野さんは、同じ病室で、皆一様に苦しんでいるのに、難病に指定されている病気を患っている人と難病指定されていない病気に罹っている人ではその待遇に違いがあることに疑問を感じたと言います。

難病指定されるためには様々条件があります。下記は一例にすぎませんが、これらの条件を少なくともクリアーしていなければ、難病に指定されることはありません。つまり、指定難病とは社会的な定義ということになります。

難病指定の条件(一部)
発病のメカニズムが不明
治療方法が確立されていない
長期間の治療が必要
日本の人口の0.1%以下程度

また、難病は完治が見込めず生涯にわたって治療が続くことが多いのです。そんな難病の治療費について経済学で考えてみましょう。

保険制度を考える
治療費に多大な影響を与える保険制度について考えてみましょう。あなたならA、B、どちらの保険を選びますか?

A、5万円までは全額負担 以降は無料
B、自己負担が1500万円までは3割負担
以降は無料

実は、Aは自動車保険タイプの保険で、Bが医療保険タイプの保険となります。前述の大野さんの場合、難病を罹った経験をお持ちということから、Aタイプの保険を絶対に選ぶと語ります。そうでなければ難病という大きなリスクには備えることができないと言います。

現在の医療保険はBタイプが多く、難病に罹った際のリスクにはうまく対応ができないのが現状です。現状の保険タイプは今後、民間または政府によって変革が求められるかもしれません。

病名がわからない
難病を罹った患者さんに共通する苦労が、病名がわかるまでに時間がかかるということです。難病の専門家の数が少ないために、巡り合って適切な診断がくだされるまで時間が要するのです。

サーチ理論
市場は取引相手を探す場と考えます。サーチ理論は、自分に合った相手を探すために有効な考え方のことをいいます。その一つが、フラッグを立てることで出会いやすくすると考え方です。

織田友理子さんは、遠位型ミオパチーという超希少難病を抱えています。織田さんは2008年に同じ超希少難病を抱える患者の会を結成しました。織田さんが「自分たちがここにいるという声を上げないと問題が可視化されない」と語るように、署名活動を行った結果、2014年に指定難病に認定されました。

織田さんが行った行為がまさにフラッグを立てることを意味します。患者の会を立ち上げたことでそこには同じ病を抱える患者だけではなく、専門医の医師などサポーターが現れたのです。フラッグを立てるにはサポーターが必要です。

難病患者にも
健常者にもプラス

かつては車椅子のなどの障害者用として整備されたエレベーターですが、いまでは小さな子供を抱える母親がベビーカーなどと一緒に利用しています。このように健常者にもプラスとなることがあるのです。

マイノリティーの経済学
難病患者はいわばマイノリティーです。マイノリティーが多数派とどのようにかかわるのかについて考えて見ましょう。

転校生というマイノリティーを例に考えてみましょう。よくありがちな転校生というマイノリティーに対して多数派の対応として、なんだか嫌な感じがするから話さないということがしばしばあります。一見、嫌な感じがするからという原因と話さないという結果の間には因果関係があるように見えることがあります。

しかし、人の振る舞いを心の中と行動に分けて考えてみると下記のように分類することができます。

心の中  イメージ良い   イメージ悪い
行動
話す   真正進歩主義者  偽善者   

話さない 日和見進歩主義者 差別主義者

例えば、良いイメージを持っているが話さないという日和見進歩主義者。多くの人はこの分類に属するのではないでしょうか。良いイメージはあるけれど、周りの人の様子を伺いながら、自らの行動を決めるのです。その結果、話さないという行動から転校生のイメージが悪くなる。つまり、行動が心の中を決めているのです。それを東京大学の松井教授は、帰納論的ゲーム理論と名付けています。

帰納論的ゲーム理論を障がい者に当てはめて考えてみましょう。今では障がい者の駅などで見かける機会が多くなりましたが、かつてはほとんど見かけることはありませんでした。見かけないという行動が、障がい者に対する偏見へと繋がって行くことがあるということです。

かつては経済学は人間関係を科学する学問でもありました。相手のことを考える、相手の立場に立って、ものをみる、そんな広い意味での共感が今問われています。

スポンサードリンク



posted by CYL at 22:21 | オイコノミア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする