2015年12月29日

夢の扉+|ぐっすり眠れる?快眠物質を解明!

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夢の扉+|ぐっすり眠れる?快眠物質を解明!


筑波大学
国際総合睡眠医科学研究機構
裏出 良博 教授


「睡眠とは?」の問いに、”無上の喜び”と語るのは、睡眠博士こと裏出良博さんです。寝ることは生物学的に一番の幸せだいいます。

睡眠障害は万病のもと
5人に1人が睡眠に関する悩みを抱えるほど日本は不眠大国です。睡眠時間が短くなったり、徹夜が続くとお腹がやたらと減り、甘みの強いものや塩分が強いものが欲しくなり、高血圧、糖尿病、肥満のリスクが高まります。つまり、睡眠障害は万病のもとなのです。

眠くなる仕組み
多くの人は、朝起きて、夜眠くなります。そのリズムを作り出しているのが、脳の中にある睡眠物質です。睡眠物質は数十種類存在するといいます。

眠くなるタイプの物質が脳内に増えると眠くなり、逆に、目が覚める物質が増えると目が冴えてきます。睡眠物質は次々に発見されていますが、それぞれどのように働いているのか謎のままでした。

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”コーヒーと覚醒”の謎を解明
実は、いままでコーヒーのカフェインがどのように作用して眠気が覚めるのか、誰も解明できずにいました。そんな長年の謎を解明したのが、裏出さんでした。

睡眠物質アデノシンが、睡眠のスイッチにはまることで人は眠くなるのですが、コーヒーに含まれるカフェインとアデノシンの形が似ているため、コーヒーを摂取すると、カフェインによって睡眠のスイッチがアデノシンよりも先にふさがれてしまいます。

そのため、睡眠を促すアデノシンが睡眠のスイッチを刺激しようとするのですが、カフェインが邪魔をして入り込む余地がなくなってしまいます。結果として、コーヒーに含まれるカフェインによって眠りが妨げられることになるのです。

睡眠計測システムで研究加速
上記のようなコーヒーと覚醒の仕組みの解明に大きな役割を果たしたのが、「睡眠計測システム」です。裏出さんは、睡眠研究を加速させるためにメーカーに依頼して、「睡眠計測システム」を開発しました。

それにより、それまで難しいとされてきたマウスの脳波を計測することができ、計測データをコンピュータで分析することができるようになったのです。睡眠計測システムを使ったもっと大きな成果が、コーヒーと覚醒の仕組みの解明でした。

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過酷な砂漠に行くラクダなる!
裏出さんは、大阪府立大学農学部から京都大学医学部大学院へと進みましたが、そこには全国から選ばれた人材、いわばサラブレッドたちが集まっていました。そこで裏出さんは考えました。

「研究は道のない砂漠の世界を歩くようなもの。サラブレッドのようなスピードは必要ない。歩きつづけるものが強い。おれはラクダになろう!」

コツコツと歩きつづける
研究テーマに選んだのは当時注目されていた睡眠物質PGD2でした。眠りに誘う効果は絶大だが、脳内のどこで作られているかわかりませんでしたが、それを脳を包む”くも膜”で作られていることを発見したのが裏出さんでした。不思議な発見を見逃さなかったのは、コツコツと歩き続けてきたからそこだと裏出さんは語ります。

難病への取り組み
筋ジストロフィーは、筋肉が衰えていく難病で、患者の筋肉ではPGD2が大量に作られていたことがわかっています。「PGD2の働きを抑えることができれば病気の進行を止めることができるかもしれない」と裏出さんは考え、PGD2の働きを抑える物質の研究に取り組んでいます。

実際に動物を使った実験では、その効果が実証されおり、裏出さんは快眠だけでなく、難病への取り組みも行っています。


過酷な砂漠の中でも歩き続ける
裏出良博
posted by CYL at 11:51 | 夢の扉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする