2015年09月07日

夢の扉+|沖縄科学技術大学院大学教授 新竹積(59)

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夢の扉+|
沖縄科学技術大学院大学教授 新竹積(59)



長髪を後ろで束ねる独特の風貌の新竹さんは、世界的な物理学者として、これまで数々の世界的物理学賞を受賞してきました。そんな新竹さんがいま取り組んでいるのが、海の力を使った発電プロジェクトです。

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海流でプロペラを回す

海には海流と呼ばれる水の流れがあります。そこには世界の電力事情を変える莫大なエネルギーがあるといいます。新竹さんが注目しているのが日本近海にある黒潮です。海流の幅は、約100kmとまるで巨大な川のような黒潮には、原子炉200基分の200ギガワットの潜在エネルギーがあるといわれています。新竹さんは、黒潮の中に300基の発電装置を設置して原子炉1基分のエネルギーをつくり出そうとして考えています。

課題は、発電装置に使うプロペラが海流の力に負けて折れてしまうということでした。そこで、海流の力に負けない高性能プロペラのヒントを得るために新竹さんがやってきたのは水族館でした。イルカの尾びれをヒントに一枚一枚がイルカの尾びれのように動く羽根を新たに開発しました。

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波力発電にも挑戦

主に海流、波力、潮流に分かれる海洋エネルギーですが、新竹さんはイルカの尾びれをヒントに開発した海流発電のプロペラを応用し、波力発電にも取り組み始めています。波消しブロックに取り付けて並べることで、堤防をエネルギーステーションにしようと考えています。


オリジナルへの強いこだわり

1992年、新竹さんはノーベル物理学賞受賞者のバートン・リヒター博士に呼ばれスタンフォード大学の研究員となりました。しかし、ふたりはある装置の開発を巡り意見が分かれました。「おまえの理論は間違っている」とリヒター博士から否定された新竹さんは、「間違っているのはあなただ」と切り返しました。以来、新竹さんは会議の度に自分の考えが正しいことを主張し続けました。するとリヒター博士から下されたのは帰国命令でした。

失意の中、日本へ戻った新竹さんでしたが、自分の考えを曲げることはありませんでした。ここであきらめたら新しい技術は生まれないとリヒター博士に否定された理論を日本で形にしようと考えました。それが世界最高峰の顕微鏡「SACLA」(さくら)でした。

そのエンジン部分に新竹さんのオリジナルアイデアが採用されましたが、毎日にようにトラブルが発生し、新竹さんのアイデアを疑問視する声があがりました。しかし、新竹さんは苦しみや失敗がオリジナルの成功に繋がると確信していました。そして、2011年、「SACLA」が完成し、そのニュースが世界を駆け巡りました。

「模倣をしてしまうと失敗の経験をしない。オリジナルは必ず失敗する。これはしてはいけないということを身をもって経験する分だけ安全性があがる」と新竹さんは語ります。


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posted by CYL at 18:09 | 夢の扉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする