2015年09月04日

カンブリア宮殿|ヤマハ社長_中田卓也

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カンブリア宮殿|ヤマハ社長_中田卓也


音楽教室で文化を育て楽器市場開拓
ヤマハの感動戦略



ピアノでおなじみのヤマハは、本社を静岡県浜松市に構える従業員約2万人、売上高の4322億円の大企業です。ヤマハの最大の特徴は、様々な楽器をつくる世界唯一の総合楽器メーカーということです。たいてい楽器を製造販売する企業はひとつの楽器に特化しています。

ピアノ世界シェア1位

ヤマハのピアノは世界シェア32%を占め世界トップに君臨しています。ヤマハ掛川工場のピアノの生産台数は年間約2万台を数えます。その製造工程は、高価だったピアノを安くするため、製造工程が一部機械化されています。それらの機械はすべてヤマハが自社開発をしたものを使っています。機械化の一方で美しい音色をつくる工程は人の手で行われています。

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創業者|山葉寅楠

ヤマハを創業したのは山葉寅楠です。1887年、尋常小学校のオルガンを修理したことがきっかけでした。山葉は、学校に目をつけ、よいピアノを作れば学校に売れると考えました。やがて日本中の学校が販売先になっていきました。

そんな中、山葉は、ピアノ以外の需要があることに気がつきました。ハーモニカ、縦笛、木琴など、子供たちが手に取る楽器をつくったところ、売れに売れたのです。それがヤマハが総合楽器メーカーになる礎となりました。

4代目社長|川上源一
ヤマハ音楽教室開校

1953年、4代目社長の川上源一は、欧米視察に訪れた際にある家庭に招かれました。川上さんをもてなしてくれたのは家族による生演奏でした。ギターやピアノを生き生きと演奏する姿を目の当たりにした川上さんは衝撃を受けました。当時の日本では家庭で音楽を楽しむ文化はなかったからです。

そこで、”楽器を演奏し、音楽を楽しむ文化を日本にもつくろう”と考えました。そうすれば、学校だけではなく、一般家庭にも楽器の需要が掘り起こせると考えたのです。そこで川上さんは1954年、実験教室を開設、現在のヤマハ音楽教室です。

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個人指導からグループに

従来のピアノ指導は個人指導が当たり前でしたが、それをグループ制にし、友達と音楽を楽しんでもらう仕組みとしました。人間というのは、グループで学んだ方が、楽しさが出たり、競争したり、一緒に喜んだりすることができると中田社長はいいます。

独自メソッド考案

さらに、ヤマハ音楽教室は独自のメソッドを考案しました。そのひとつが、まず音を聞き、ドレミで歌うというものです。すると音を聞いただけで、その音階がわかるようになります。歌って楽しんでから楽器を弾くという方法です。ヤマハ音楽教室は、この耳から学ぶというメソッドを確立したことが評価され、戦後日本のイノベーション100選に選出されています。

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音楽を楽しむ人が増えなければ楽器は普及しないと考えた川上さんは、音楽教室で楽器が売れる下地をつくりました。その戦略は見事にあたり、1954年には、生徒数150人、国内ピアノ販売台数1万台だったのが、1964年には、生徒数20万人、国内ピアノ販売台数が13万台となりました。

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ピアノ版のフェラーリを目指す

ピアノ世界シェア1位のヤマハですが、プロが使う最高機種においてヤマハはトップブランドではありません。そこで、現在ヤマハは、世界のトッププロに選ばれるピアノ、その悲願を叶えるための挑戦を続けています。

その挑戦に立ちはばかる最大のライバルは、スタインウェイ&サンズです。アメリカの150年以上の歴史を持つメーカーは、最高級ピアノの代名詞となっています。 

ヤマハが目指すのは、車でいえばフェラーリだと中田社長はいいます。フェラーリは、商売としては世界一ではないが、誰もが憧れる車です。そんな誰もが憧れるピアノをつくりたいというのが現在の目標となっています。


新たな感動|ボーカロイド

ヤマハの企業目的は、新たな感動と豊かな文化を世界の人と一緒につくることです。次々と新しいもの、これでしかできないというものを提供し続けるそれがヤマハの存在価値だと中田社長は語ります。

そんなヤマハが開発したボーカロイド(通称ボカロ)が10代のカラオケを変えてしまいました。ボカロは、歌入りの曲を簡単につくれるソフトです。100種類以上の歌声が収録されているので好みの歌声で楽曲がつくれます。その最大の特徴は、人が歌えない高音や早口の音楽がつくれるというものです。開発者は10年以上かけてボカロを育ててきました。

そしていまボカロでつくった曲が10代のカラオケランキングの半数を占めるほどの人気を博しているのです。ボカロでつくった高音や早口の曲を若者たちが歌うとは、ソフトを開発したヤマハも想定外のことでした。ヤマハがつくったソフトをきっかけにして若者の間に新たな感動が生まれたのです。それはまさにヤマハの企業目的と重なります。

さらに、ヤマハはボカロネットというサービスを開発しました。歌詞を入力すれば自動で作曲してくれるのです。作曲という高いハードルを低くすることで誰もが曲をつくれるようになりました。


posted by CYL at 12:44 | カンブリア宮殿 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする