2015年08月03日

夢の扉+|義肢装具士_福井若菜さん(26)人工乳房で笑顔を

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夢の扉+|義肢装具士_福井若菜さん(26)


日本人女性の12人に1人が発症する乳がん
人工乳房で胸を失った女性に笑顔を


島根県大田市大森町は、世界遺産「石見銀山」の麓にある人口400人の小さな集落です。この町にある中村ブレイス鰍ヘ、事故や病気で体の一部を失ったひとたちの義手や義足をつくる技師装具の会社です。中村ブレイスで人工乳房の開発を任されているのが福井若菜さん(26)です。人工乳房の商品名は、英語で”生き生きする”の意であるvivid(ビビット)から名付けられた「ビビファイ」です。すでに5000人のユーザーがいます。

形が変わる人工乳房の開発
女性の胸は下着を外すと形が変わりますが、いままでの人口乳房は形が変わりませんでした。本物の乳房と同じように形が変われば、人工乳房をつけたまま温泉などにも入ることができます。いま、福井さんが開発に挑戦しているのが、形が変わる人工乳房です。

これまでの人工乳房で使っていたシリコーンの皮の厚さを薄くすることで自然なたるみが出るように工夫をしましたが、大きな問題がひとつ浮上しました。それは、シリコーンの皮を薄くしたために下着を着けたときに、胸元にシワが寄ってしまうということでした。

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大切にしている言葉|Think
誰かのために何かをしたいと技師装具士になった福井さんが人工乳房の担当になり、胸を失った女性から、「あなたは胸を失っていないから私の気持ちはわからない」と言われ、福井さんには返す言葉がなかった経験があります。同じ女性として寄り添って仕事ができると考えていた福井さんにはショックでしたが、福井さんはそのことは”事実”だと受け止めて、依頼者に寄り添って開発を進める気持ちに変わりはありませんでした。

そんな福井さんが日々の仕事で大切にしている言葉が「Think」です。使う人の立場にたって考えることで道が開けるという中村ブレイスの創業者である中村社長が伝えてきた言葉です。「患者さんから切実な希望や悩みを聞くことで自分たちは改善していける」と中村社長は語ります。人工乳房はまさに福井さんのThinkの積み重ねなのです。

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人工乳房|健全な赤字部門
中村社長は、積極的に女性技術者を採用し、使う人の気持ちをより深く考えるようにしました。さらに、およそ40万円のオーダーメード商品を赤字覚悟の20万円以下で販売しています。人工乳房の製作は、健全な赤字部門だと中村社長は胸を張ります。「採算性に合わないけれど、皆さんから喜ばれる。女性の技術者たちも一生懸命やっている。成長するための勉強と思っている。チャレンジ精神をみんなが持ってくれていること、それが宝だと思う。」と中村社長を語ります。

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形が変わる人工乳房|17年ぶりの温泉
中村ブレイスには毎日感謝の手紙が届きます。手紙を励みに下着をつけても外しても使える人工乳房の開発に福井さんは邁進していました。構想から2年、試作品が完成しました。シリコーンの厚さは、従来品の3分の2となる1ミリです。シワになりやすい上の部分はシリコーンの皮の厚みを厚くし、下の部分は自然のたるみが出るように薄くしました。

人工乳房の依頼者である平井さんは、手術により乳房を失ったことで、17年間にわたり温泉に入ることはありませんでした。そんな平井さんは福井さんがつくった試作品をつけ、17年分の温泉を満喫できたと語ります。もう一生入ることはないと考えていた平井さんには、福井さんへの感謝の気持ちで溢れていました。そして、私のような体のひとをひとりでも多く救って欲しいと福井さんへ気持ちを伝えました。


乳がんと人工乳房
日本人女性の12人に1人が発症するという乳がんの発症者数は、年間増加を続け、40年ほど前に比べると、約7倍となっています。20年ほど前には乳がんになると半数以上の人が乳房を摘出しましたが、治療法の発達によりいまでは、温存や再建手術が増えています。乳房の再建手術には、自分の身体の一部を移植する方法やシリコンバックを入れる方法がありますが、再建が難しいケースがあるため、人工乳房が求められています。


posted by CYL at 10:21 | 夢の扉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする