2015年07月29日

ガイアの夜明け|逆境の技術者〜異分野への挑戦〜富士通の植物工場

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ガイアの夜明け|
逆境の技術者〜異分野への挑戦〜



新事業開拓|本業技術の応用

ものづくり企業の中には、本来の商品をつくるその技術を生かして、違う分野の商品をつくり人気を博している会社があります。たとえば、大手自動車部品メーカーのアイシン精機が、ベッドを開発しました。材料部品で使われる特殊な樹脂をベッドのクッションに採用し、睡眠中の体をより楽な状態に保つことでできるベットとなっています。

スポーツ用品でおなじみのヨネックスは、長年にわたりテニスラケットやゴルフクラブをつくっています。それらの商品には、強度があって軽い素材のカーボンが使われていますが、カーボンの技術をつかって開発したのがスポーツサイクルです。愛好者が増えているスポーツサイクル事業に2014年に参入しました。

オートバイメーカーとして知られるヤマハ発動機のもうひとつの主力商品がボートです。ボートの先端に使われているのが、FRPという強化プラスチックです。丈夫で軽く、加工しやすい強化プラスチックを使ってプールの底や壁をつくり、いまでは学校のプールの半分をヤマハ発動機の商品が占めるまでとなっています。

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洗わずに食べられる野菜「キレイヤサイ」
富士通の植物工場

室内の温度と湿度を一定に保ち、蛍光灯で育てる植物工場を手がけているのは大手電機メーカーの富士通です。富士通の植物工場が他と異なるのは、もともと半導体工場であったことです。そして、野菜を育てているのが、元半導体技術者たちであることです。

ここ数年、富士通の半導体事業は、海外勢の躍進で売り上げが低迷し、事業の大幅な見直しを迫られました。福島県会津若松市にある富士通の半導体工場に勤めていた宮部治泰さん(51)は、ある日突然、元半導体技術者を中心に30人で野菜づくりを命ぜられました。会社は、半導体工場3棟のうち1棟を閉鎖して、野菜づくりに乗り出したのです。

クリーンルームの転用
社員たちは、手探りで半導体工場を野菜工場につくり変えてきました。そのひとつが半導体事業で使っていたクリーンルームを転用することでした。植物工場内にほこりを持ち込むことなく、限りなく無菌状態での栽培を可能にしました。その結果、洗う必要がなく、新鮮な状態が長持ちするシャキシャキと美味しいレタスが育ったのです。(新鮮さが2週間続く)

薬品供給システムの応用
もうひとつ半導体製造で培われた技術が採用されています。それは、レタスを育てる液体肥料の与え方です。半導体製造には多くの薬品を使います。その供給システムのノウハウを水耕栽培に応用しました。数種類の液体肥料を、必要なときに、必要な分だけ与えることができます。

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生食の低カリウムほうれん草
一口にほうれん草と言っても、実はその品種は400種もあります。その中から水耕栽培に適した6品種を専門家からアドバイスをもらい、実際に育ててみることとしました。1ヶ月後、花が咲かずもっとも生育がよかった品種を工場で育てることを決めました。

富士通野菜のほうれん草のウリは、カリウムの含有量が少ないことです。100グラムあたり90ミリグラムと一般的なほうれん草の値の7分の1以下です。カリウム含有量が少ないことで、ほうれん草特有の苦味がなく、生もで食べることができるほうれん草となりました。


新商品開発
異分野で能力と経験を生かす技術者

近頃、大手電機メーカーで働いていた技術者を他の企業が積極的に採用するというケースが増えています。これまで培った能力を生かして新商品を開発するというのが狙いのようです。

例えば、子ども用品専門店の西松屋では、元東芝の技術者がプラベートブランドのベビーカーを開発しました。東芝時代の経験を生かして材料選びや作業工程の見直しなどでコストダウンを図りました。その結果、低価格で高品質なベビーカーが実現しました。

アイリスオーヤマのノンフライ熱風オーブンを開発したのは、パナソニックで海外向けの業務用オーブンをつくっていた技術者です。強い熱風を行き渡らせる特殊な技術を応用することによって、油を使わずに揚げ物を作れるようにしました。

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老舗文房具メーカー|サクラクレパス
製造業技術者の中途採用

大阪市に本社を置くサクラクレパスは、文具や画材を扱う1921年創業の老舗メーカーです。サクラクレパスが得意とする子ども向けの文具は、ここ数年の少子化により市場が縮小しています。そのため、2年前から製造業の技術者を中心とした中途採用を積極的にはじめ、新商品開発に力を入れて取り組んでいます。これまで、三洋電機やシャープなど大手電機メーカーを含め10人程度採用しています。

東大阪市にあるサクラクレパスの工場に勤めるうね山さん(49)は2年前にシャープから転職してきました。シャープでは、半導体レーザーや太陽電池などの生産技術に携わってきました。その能力と経験を生かし、サクラクレパスでは、新商品開発を任されています。

サクラクレパスでは、これまで特徴的な材料を開発してきました。たとえば、お湯につけて温めると色がなり、水で冷やすと色が戻るという温度に反応するインクです。その他、気圧や湿度に反応して色が変わる特殊なインクがあります。それらの技術をつかってうね山さんは新商品開発を進めていました。

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新商品開発
手軽で安価にプラズマ計測

プラズマを使った加工技術は、半導体をはじめスマートフォンやテレビに使われる最先端技術です。加工する製品に正しくプラズマが当たっているかを調べるためには、これまで特殊な装置を取り付けて値を測るしか方法はなく、時間とコストがかかっていたといいます。

そこにビジネスチャンスを見出したうね山さんは、特殊なインクを開発しプラズマの強さが色でわかる検査シールの開発を行っています。プラズマが強く当たるほど、色が濃く変色しる仕組みです。実用化されれば、簡単に安価にプラズマの状態を評価(検査)することが可能となり、製造業界全体の底上げに役立つ評価ツールとなります。

うね山さんの努力が実り、開発をはじめて2年、待ち望まれていた商品化が決まりました。商品名プラズマークは、1枚950円ですでに数社への納入が決まっています。

まとめ

逆境の中にあっても粘り強く新たな商品を生み出し続ける日本の技術者たちが、いろいろな分野にいることがわかりました。ここ数年、新興国の台頭により、技術者はますます時代の変化に対応が求められています。新たな発想でものづくりを進めることで厳しい状況にも勝ち残っていけるのかもしれません。



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posted by CYL at 11:53 | ガイアの夜明け | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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