2015年06月23日

オイコノミア|お金がない人の経済学


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オイコノミア|お金がない人の経済学



今回のテーマは「お金がない」です。

ゲストはダンディーな俳優の風間トオルさんです。少年のころはお金がなかったそうで、家にお風呂がなかったために、銭湯に通っていましたが、毎日ではなく週に1回だったといいます。風間さんは、小学5年生のころ両親が離婚し、父方の祖父母に育てられました。お腹が空いたときには公園で草を食べたこともあるといいます。

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相対的貧困率

所得の低い人から順番に並べてちょうど真ん中に来る人の所得の半分を貧困線と呼びます。貧困線に満たない人の割合が人口に対してどのくらいを占めるのかを相対的貧困率と呼びます。日本の相対的貧困率は上昇中で、2012年には16.1%(6人に1人)が貧困という結果になりました。ちなみに2012年の貧困線は、年収122万円です。つまり、1ヶ月の生活費が10万円以下の人が約2000万人がいることを示しています。10万円では生活費を捻出したらほとんど残らない状況です。

貧困率上昇の主な原因は、不況の長期化、高齢化、技術革新・グローバル化、離婚率の上昇などが考えられます。一人親世帯では55%が貧困にあると言われています。

貧困のきっかけは、さまざまですが、たとえば離婚、病気、失業、親の介護など身の回り起こる可能性のある小さなきっかけにより貧困になってしまうケースがあります。貧困は決して他人事ではないのです。

また、相対的貧困という概念に対して、絶対的貧困という概念もあります。世界銀行(アメリカに本部を置き途上国などに資金や技術援助などを行う金融機関)の定義によると、1日の所得が1ドル25セント(日本円で約150円)以下が貧困ラインとなっています。

貧困はお金が不足している状態です。どうしてそういう状態が起こるのか、どうやったらそこから抜け出せるのかを経済学から読み解いていきます。

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貧困に陥ると

お金が究極的に欠乏した状態が貧困ですから、欠乏はあるものが足りないときにそれに集中させる力を持っています。お金が欠乏しているときというのは、お金について考える集中力が高まっています。そうすると貧困で困っているひとは、消費税の計算や買い物に関する計算が速いという研究結果があります。目先の欠乏の対処に集中できるというメリットはありますが、集中し過ぎるともっと重要かもしれないことに気がつかず、意識の外に追い出して放置してしまうということもあります。経済学でいいうところのトンネリングが起きてしまいます。

トンネリングとは、トンネルの中にいると外が見えないように、何かに集中していると他のことに意識がいかなくなってしまうことをいいます。目先の欠乏に対処することだけに集中し、その他のことをほったらかしにしてしまうのです。

そんなトンネリングの状態を繰り返しているとジャグリングという状況に陥ってしまいます。もともとの意味は、大道芸などで披露されるジャグリングですが、それが転じた考え方として経済学で最近注目されています。

ジャグリングとは、目先のことに追われその場しのぎの対処を続けることをいいます。ひとつのことを解決しても次から次へと課題を解決しなくてはならない状態をいい、まさに大道芸のお手玉と一緒です。貧困になると一日、一日を暮らしていく集中力は高くなりますが、先を見通す余裕はなくなります。そのためちょっとしたきっかけでジャグリング状態へ陥ってしまいます。

アメリカの貧困層の18%が料金を支払うことができずに電話回線を切られてしまったというデータがあります。そこにトンネリングとジャグリングが起きています。電話回線の料金は、期日までに支払うと通話料金のみの請求で済みますが、料金を支払うことができずに一度回線が切断される(トンネリング)と、通話料金に加えて手数料と延滞金を支払わなければならないのです(ジャグリング)。結局、普通に支払ったときに比べ、支出が増えてしまう結果となります。

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経済学で見る|貧困から抜け出すには


その1:教育

経済学では貧困の連鎖から抜け出すために”教育”が非常に大切だと考えられています。教育を受けることで将来、より賃金の高い仕事の就くチャンスが高くなるからです。しかし、世帯年収と子どもの学力を調査した結果、小中学生では親の年収が学力に影響していることがわかりました。その理由のひとつは、貧困家庭の子どもたちは塾などの学習の機会が少ないこと、さらに問題なのが自己肯定感(学習意欲)を持ちにくい傾向があることだと考えられています。

教師を育成するNPO法人
子どもたちに自己肯定感を持たせる講師を育成することを目指しているNPO法人を又吉さんが訪ねました。教育系NPO法人代表理事の松田悠介さんによると、格差は0歳から開いていきますが、その差は僅かなものの積み重ねだといいます。たとえば、九九がわかったかどうか、中学校1年生のときに英語を学ぶ喜びを感じさせる授業だったのか、自分の個性を見つけてくれる先生がいたのかなどのちょっとした差によって、最終的に高校や大学に進学することができたのか否かという大きな差に繋がっていくといいます。

いまの状態がどうであっても子ども達に無限の可能性があるということを教師がいかに信じられるか、応援できるのかが大切で、チャレンジしようと思った子どもに対してサポートしてあげるような教師が増えることで、現在ある社会課題がどんどん解決されていくと松田さんは考えています。

企業制度|奨学金の返済を肩代わり
経済的に苦しくても高等教育を受けるチャンスがもらえる奨学金の貸与金額は年々増加傾向にあります。ところがその奨学金を返済することができない人が増え、問題となっています。つまり、仕事の就いても返済できる賃金が得られないのです。

社員の奨学金の返済を肩代わりする制度をもつ眼鏡販売会社を又吉産が訪ねました。眼鏡製造販売会社社長の田中修治さんは、「奨学金を受けて大学に通い色々な経験を身につければ、社会に出てから”評価”として買い取ってもらえる受け皿があれば、金銭的に苦しいけれど、大学まで通ってしっかり勉強しようとする人が増えるのではないか」と語ります。奨学金の返済を肩代わりする制度をつくることで、次の世代の人たちに”道”をつくることができると考え、田中さんは制度をはじめたといいます。


経済学で見る|貧困から抜け出すには
その2:国や自治体の「援助」

国や自治体の「援助」で貧困から抜け出すことができ、長い目でみると財政的なメリットもあるという試算があります。たとえば、18歳で生活保護受給者となると65歳までに国は5000万円から6000万円を負担することとなります。

一方、国が2年間の職業訓練として460万円を負担し、非正規や正規社員として就労できるようになれば、税金や社会保険料など国に納めることになります。生活保護受給者となった場合と比べると、その差額は7000万円から1億円となります。

このようなことを背景に、各自治体では、生活保護受給者になる前に何らかの対策を立てることで、親子間の貧困の連鎖を断ち切ると同時に、増加する社会保障費を減らす取り組みがなされています。

経済学で見る|貧困から抜け出すには
その3:自立

自治体(川崎市)では面接用のスーツを貸し出したり、仕事が見つからない人との個別面談を行ったりしています。たとえば、失業のきっかけが親の介護だった場合、履歴書上は何年か空白期間ができてしまい、就職活動には不利だと言われています。実際に親の介護をした経験を生かすため、介護の資格を取ることを助言し実際に仕事に就いたというケースがあります。

経済学で見る|貧困から抜け出すには
その4:貯金

貧困から抜け出すためには貯金が必要なのです。突発的な自然災害や病気によって生活そのものが破綻してしまう危険を回避するために貯金が必要となります。貧困だから貯金ができないという正論がありますが、少しずつ貯金をしておくと貧困を抜け出すきっかけをつくってくれるという例があり、インド出身の経済学者が説明しています。

ケニアのある地方では、教会が管理する畑は豊作なのに対し、一方で農民の畑は不作でした。その理由を調べてみると教会では肥料を使っていて、農民の畑では使っていないことがわかりました。肥料を使ったときの収益率は7割、つまり肥料購入に1万円をかければ、1万7千円分の作物が収穫できるのです。実際に農家の人々も、肥料を使えば作物がたくさんできることは知っていました。しかし、彼らは収穫後にお金が入ると使い果たしてしまい、肥料代に当てるお金がなかったのです。

そこで研究者たちはどうしたら農民に肥料を買ってもらえるかを考えました。農家のひとの問題は、収穫後のお金があるときについつい別のものを購入してしまい、必要なときに肥料が買えなくなっていることでしたので、肥料と交換できる予約券を収穫直後に販売しました。これで畑を耕す時期に手元にお金がなくても肥料を手に入れられるようになり、収穫高が上がったのです。

ここには人間のある特性が潜んでいると経済学では考えます。突然ですが、夏休みの宿題は、夏休み前はいつやろうと思っていましたか?

双曲割引

それは、将来手にするものの価値を大きく割り引いてしまうという特性です。経済学では双曲割引といいます。双曲割引とは、今手に入るものの価値に比べて将来手に入るものの価値をかなり小さく考えてしまう人間の特性です。先ほどの農家がお金が手に入るとついつい必要のないものを買ってしまったのも双曲割引が関係しています。

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双曲割引の典型は、夏休みの宿題を毎日均等または最初にやろうと考えますが、夏休みがはじまると毎日宿題を先延ばししていって、最終的には夏休みの最後に宿題をするパターンに陥る人です。

そこで、自分自身の選択の癖を知ることが大切で、選択を誤らないようにすることが大切になってきます。先延ばしをする癖があるひとは、それをしないような設定を自分に設けておくことが大切です。




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posted by CYL at 12:51 | オイコノミア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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