2015年06月08日

「NHKスペシャル」生命大躍進|第2集「こうして”母の愛”が生まれた」2

大躍進その1|母乳誕生へ

大躍進その2 我が子を身ごもる


祖先をおそった試練
いまから約2億5000万年前、母乳による子育てを行うようになった祖先達は大繁栄してさまざまな姿形へと変化して種類を増やしていました。中でも、もっとも子孫を増やしていたのはディイクトドンで、家族が巣穴に寄り添って暮らしていました。

そんな中、突然、地球内部から膨大な量の溶岩が吹き出しました。時にその高さは2000mにもなったといいます。噴火活動は約100万年続き、その影響で地球上の生物種の96%が絶滅したと考えられています。

ほ乳類の祖先はどうなったのか
中国で発見された私達の祖先ジュラマイアは、体長10cmと巨大噴火のあと小さな姿になっていました。化石を調べると子育てを激変させる大躍進が起こっていました。卵を産むのではなくお腹の中で子どもを育てるつくりに体が変化していたのです。

ジュラマイアは赤ちゃんをお腹の中で育てる臓器”胎盤”を持つ動物であることがわかりました。現在、胎盤をもつ動物はすべてジュラマイアの子孫なのです。胎盤は、赤ちゃんのへその緒の先にある特別な臓器です。母親の子宮に密着して栄養や酸素を母親から受けとっています。

私達の祖先はもともと受精卵を殻で覆い外に産み落としていました。それが卵でした。あるとき不思議な変化が起きました。受精卵の中にある赤ちゃんの尿を溜める袋が発達し母親の体の一部に密着したのです。これが胎盤となり子どもは母親の胎内にとどまって育つようになります。それは体の小さな祖先が生き残るために重要な意味を持っていました。

胎盤をつくるために獲得した
新しい遺伝子


PEG10遺伝子という胎盤を作るのに必須の遺伝子が1億6000年以上前に突如出現し、その後、ほ乳類に受け継がれたことがわかりました。そんなPEG10遺伝子に似ている遺伝子があります。それは、さまざまな病気を引き起こすレトロウィルスです。調べてみると特徴づける2種類の遺伝子がPEG10遺伝子の中にも存在していることがわかりました。

仮説として考えられたのが、レトロウィルスが祖先の体内に入り込んでPEG10ウィルスになったというものです。それを証明するかのようにウィルスからもらったと思われる不思議な能力が胎盤にはあります。母親の免疫を抑えるという能力です。親子であっても時に血液型すら違う別人ですので、異物として母親の免疫から攻撃されるのが普通ですが、胎盤が母親の免疫を抑えてそれを防いでいるのです。レトロウィルスも免疫からの攻撃をされること避けるために、免疫を抑える力を持っています。

胎盤誕生の瞬間へ
いまから約1億6000万年以上前の地球を支配していたのは恐竜でした。小型で胎盤をもった私達の祖先は恐竜から逃れながら生きていました。そんな中、レトロウィルスに感染し、仲間内で感染が拡大しました。感染したものが次々と命を落とし、絶滅の危機に追い込まれます。

そのとき奇跡が起こりました。生き残った祖先の体内で子孫を残すための細胞”生殖細胞”にたどり着いたレトロウィルスは細胞の中に遺伝子を送り込みます。目指すは細胞の中心部 祖先のDNAが詰まっている場所です。

私達の祖先のDNAにたどり着いたレトロウィルスのDNAは、祖先のDNAをハサミのようなもので切断し、自らのDNAを祖先のDNAに組み込みました。これこそが後に胎盤を生み出すことになるPEG10遺伝子です。

この事件以後、子孫にPEG10遺伝子が代々受け継がれるようになりました。そしてあるときPEG10遺伝子が活動を開始し、急速に胎盤を発達させていきました。そして母親の免疫を押さえ込み、異物である我が子をお腹の中にとどめられるようになったのです

1億6000万年をかけて
その後の進化で胎盤の能力が強化されて子どもを身ごもる期間が長くなりました。赤ちゃんはより安全な母親の胎内で大きく育ち生まれてくるようになります。その代わり母親は身重で生きる苦労を背負わされることとなります。

大きくなるお腹を見つめる日々は、生まれてくる我が子への愛情をはぐくみ掛け替えのない時間となっていきます。出産時、胎盤からのサインをうけて母親の心に大きな変化が起こることがわかっています。脳内で特別なホルモンが放出され我が子への愛情が一段と強まっていくのです。



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posted by CYL at 12:42 | NHKスペシャル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする