2015年06月04日

NHK「スーパープレゼンテーション」女性起業家ロビン・チェイスさん


NHK「スーパープレゼンテーション」
女性起業家ロビン・チェイスさん


2015年6月3日放送のNHK「スーパープレゼンテーション」のプレゼンターは、女性起業家ロビン・チェイスさんです。アメリカで最大のカーシェアリングの会社を立ち上げてアメリカの車社会を変えたということで有名な女性です。

1958年生まれのロビンさんは、大学卒業後、公衆衛生の仕事に就きながらビジネススクールで企業経営を学びます。3人の子の母親になってからもビジネスを通して世界を良くしたいという思いを持ち続けていました。2000年、ロビンさんが42歳のときにカーシェアリングの会社「Zipcar」を立ち上げるのです。

カーシェアリングとは、車を会員同士でシェアし利用時間に応じて料金を払うシステムです。いまでは、日本の都心部でみかけることが多くなりました。カーシェアリングで車の数を減らすことができれば排気ガスやCO2削減できると考えたのです。

そして「Zipcar」はインターネットを利用して気軽に使えるシステムを開発し、いまでは会員数90万人を超える北米最大のカーシェアリング会社に成長しています。車を買うのではなく共有するというライフスタイルと提供しています。また、カーシェアリングは共有型経済(sharing economy)の先駆けとなりました。共有型経済はモノを所有するのではなく共有し効率良く使うことです。

今回のプレゼンでロビンさんが語るのは、カーシェアリングビジネスのその先のビジネスについてです。お楽しみにどうぞ。





”ピアーズ会社”

カーシェリングは、1台で15台の車の削減につながり、さらに乗る度にお金がかかるので運転量の80%削減につながるのです。ロビンさんは「Zipcar」で成功をおさめ2010年に家族でパリに引っ越し、その翌年2011年にBuzzcarを立ち上げました。Buzzcarは、カーシェアリングの進化版というべきのスタイルで、登録者が自分の車を貸すというサービスです。車をシェアしたい人たちを企業の力で支える仕組みで、ある人はこの仕組みをpeer to peerと呼びます。人と人との関わりという意味です。

ネット上に参加型のプラットフォームを作り参加者たちと手を組んで共通の価値観を築き、補い合って強くなるというこのやり方を”ピアーズ会社(Peers Inc.)”とロビンさんは呼んでいます。

企業サイドは企業の得意なことを行います。たとえば、大規模なビジネス展開や多額で長期的な投資、専門知識や技術の提供、サービスに関する基準やルールなどの設定や管理、ブランドとしての約束など参加型プラットフォームの提供を行います。

一方で、参加者(ピアーズ)はその強みを生かします。たとえば、素晴らしい多様性、ローカライズやカスタマイズ、人と人のネットワークを作るといったことです。つまりピアーズ会社では、サービスや商品は参加者(ピアーズ)が提供し運営は会社が行うというものです。


”ピアーズ会社"の良い例

良い例が相乗り募集サイト「Carpooling.com」です。10年で登録ユーザー数が350万人で毎月100万人が相乗りしています。フランスの高速鉄道TGVに換算すると2500本分の人数に匹敵します。Carpooling.comは、余剰キャパシティーを活用しているだけです。「Fiverr」は5ドルで自分のスキルを売るサイトで75万件の”仕事・サービス”が掲載されています。

また、”ピアーズ会社”のやり方で複雑なサービスを提供することも可能なことを「Topcoder」が示しています。 40万人がプログラミング技術を提供しているのです。

「Etsy」は手作り品を売買するサイトです。開設から7年以上が経ちました。出品された手作り品の売り上げで2011年の総販売額は5億3000万ドルとなっています。ただし、ウェブサイトをつくれば楽して稼げるというわけではありません。

車を貸す人と車を借りる人を結ぶ「Buzzcar」

ロビンさんがフランスではじめた「Buzzcar」は車を貸す人と車を借りる人をつなぐものですので、当然両者のことを考えなければなりません。問題はたとえば自動車保険です。様々な保険会社と会議を重ねてやっと決まったのは1年半後でした。時間と労力だけではなく、弁護士がついたのでお金もかかりました。結果的には貸し手には責任が及ばず、車両に保険がつき、借り手には低い免責金額と24時間のロードサービスがつくこととなりました。

やっと運用が始まって登録者が増え利用者の希望が入ってきました。しかし、大半の人は登録したにもかかわらずリクエストが来たら無視をしたのです。このときロビンが気づいたことは、工業生産と”ピアーズ会社”の違いでした。工業生産には品質のばらつきがでないということが特徴です。Zipcarは安定したサービスですが、一方の”ピアーズ会社”というのはやり方が違ってかなり品質にばらつきが出ることに気がつきました。

元祖”ピアーズ会社”ともいえるオークションサイト「eBay」はばらつきへの対策として評価する機能をつけました。これによって買う側の人はトラブルを避けられるようになりました。

いろんな人、いろんな車、いろんな価格、いろんな地域、Buzzcarは開始から1年後には1000台の車と6000人のドライバーが登録しました。従来のビジネスモデルでは実現不可能でしょう。

これは良い例ですが、ある人が海へドライブするために車をレンタルしました。オーナーがよいビーチや美味しい店などを教えてくれたのです。こうして人間関係が構築されて、急な依頼にも応えてくれたりするのです。普通の会社ならイノベーションにかかわるひとはほんの一握りですが、”ピアーズ会社”の場合その数は比べものにならないくらい大きくなります。

ハチをイメージしたBuzzcar

たくさんのハチが集まって巣をつくるイメージからBuzzcarと名付けられました。世の中には急を要する大きな課題がたくさんありますが”ピアーズ会社”ならそれらを解決することができます。いま、ネットが個人に力を与えています。”ピアーズ会社”が次のステージへと導きます。企業の力で個人を超パワーアップさせるというわけです。コラボレーション、力を合わせれば課題は解決できるのです。


街全体をビッグデータ化

ポルトガルのポルトでロビンさんは新たな事業をはじめています。それは街を走る車やバスなどにインターネットをつけて街全体をビッグデータ化することです。未来のまちづくりに住民全ての力を借りようという壮大な試みです。

ロビンさんのように次々とベンチャー企業を立ち上げる人を連続起業家(serial entrepreneur)といいますが、そんなロビンさんは起業することはいつも不安との戦いだといいます。「もともと私には資金もないし、ビジネスがうまくいかず途方にくれることもよくありました。でも素晴らしいアイデアとそれを伝える努力があれば協力してくれる人は必ず現れます。」と語ります。


posted by CYL at 15:47 | スーパープレゼンテーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする