2015年05月28日

NHK「スーパープレゼンテーション」恥辱の代償ーモニカ・ルインスキー


NHK「スーパープレゼンテーション」
恥辱の代償ーモニカ・ルインスキー



2015年5月28日のNHK「スーパープレゼンテーション」のプレゼンターは社会活動家のモニカ・ルインスキーさんです。クリントン元大統領との不適切な関係でスキャンダルになってから17年の沈黙を破っての登場となりました。一体何を語るのでしょうか。

大統領との不適切な関係

いまから17年前の1998年、第42代アメリカ大統領のビル・クリントン大統領と不適切な関係を持ったとして報道されたとき、ルインスキーさんは大学を卒業したばかりの22才でした。ホワイトハウスの研修生として働いていたルインスキーさんは、上司であるクリントン大統領と約1年半にわたり密会を続けていました。

事実が公になったことでそれを隠していたクリントン大統領は議会で弾劾裁判にかけられました。ルインスキーさんは就職もできずにメディアから隠すようにアメリカを離れました。

その後、英国の大学院で社会心理学を学び、自らの体験を社会に役立てる必要性に気がついたといいます。そして、長年の沈黙を破り人前に立つことを決心したのです。

恥辱の代償
(The price of shame)
モニカ・ルインスキー
(Monica Lewinsky)


22歳の過ち

つい数ヶ月前に10年ぶりに講演を行いました。20代向けの講演で全て30以下の若者1500人が集まっていました。30歳以下ということはスキャンダル当時の年齢は最年長で14歳、一番若い人は4歳になります。

彼らの中にはルインスキーさんをラップで知っているという人もいます。スキャンダルがラップの歌詞として40曲以上に使われていたからです。講演が終わったあと、27歳の若者が41歳のルインスキーさんを口説きました。ルインスキーさんは嬉しかったけれど断りました。すると彼は「もう一度22歳の気持ちに戻してあげる」と言ったのです。しかし、ルインスキーさんは22歳には決して戻りたくないと思っています。

ネットいじめ被害者第1号

ルインスキーさんは、22歳で恋に落ち、24歳でさんざんな目に遭いました。いまでも自分の過ちを思い出さない日はないといいます。

数年前までニュースを知る手段は3つだけでした。それは新聞・雑誌を読むこと、ラジオを聞くこと、テレビを見ることの3つです。1998年1月、スキャンダルがネットで流れました。情報源としてネットが従来のマスコミを超えた初のケースとなりました。

一夜にして一般人から全世界の晒し者になったのです。世界規模で信用と尊厳を失ったルインスキーさんは「ネット晒し」の被害者第1号です。人々は悪口をネットに書き込んだり、メールで送ったりしたのです。尻軽女、バカ女、浮気者、人々はルインスキーさんが生身の感情をもった人間だということを忘れていました。

17年前にはこの現象に名前はありませんでした。いまではネットいじめ(cyber bulling)と呼ばれています。

晒し行為が増加

1998年スキャンダルが明らかになり、偶然友人が録音していた1年前の電話の会話を収録した音声が、ネットやテレビで流れました。普段の何気ない会話から大統領への恋心と失恋について語るルインスキーさんの電話内容が公開されたのです。1998年当時では、他人のプライベートな発言や写真などを盗んで一般に公開することは珍しいことでした。

無断で脈略のない思いやりのない晒し行為は2010年に誕生したSNSにより悲しいことに増加しています。その範囲は過ちを犯した人だけでなく、過ちを犯していない人まで広がっています。現実にそれが最悪の事態へと繋がった事例まで存在しています。

バーチャルの世界にとどまらない

2010年9月、ルインスキーさんは母と電話で会話を交わしました。ラトーガス大学1年生のタイラー・クレメンティさんの事件について。彼は寮の自室で男性と関係を持っているところを盗撮され、その映像をネットで公開されてしまったのです。その後、彼は橋から飛び降りて自らの命を絶ってしまいました。18歳でした。

1998年当時の事を思い出すとずっと両親がルインスキーさんの側に付き添っていてくれたといいます。シャワーを浴びるときに扉を開けておくようにと母はルインスキーさんに言いました。娘が死んでしまうのではないかと両親は心配していたのです。

タイラー・クレメンティさんの事件を受けて、ルインスキーさんは自らの経験を違った視点から見直しました。するとネットいじめから見えてきたことがありました。

屈辱文化の誕生

1998年当時は、ネットが世の中をどう変えるのか誰にも知るよしはありませんでした。ネットは人々のつながりをもたらした一方でネットいじめが爆発的に増加しました。被害にあっているのは傷つきやすい若者たちです。タイラー・クレメンティさんのように自殺してしまう人もいます。決してバーチャルな世界の話でとどまらないのです。

イギリスのNPO法人にはネットいじめに関する相談が87%も増加しているといいます。ある研究では屈辱というのは喜びや怒りよりも強烈な感情だとしています。昔はせいぜい恥をかいても学校や町といった規模の話でした。

恥辱に値札がついている

いまではハリウッド女優のプライベート写真が盗まれ流出し、写真を掲載したゴシップサイトが500万アクセスを記録し、映画配給会社のハッキング事件では、流出データのうちで注目を集めたのは恥ずかしい内容のメールでした。

いまや恥辱に値札がついていて、他人のプライバシーをまるで資源のように採掘し、売って利益を得ている人がいます。恥は商品として扱われ産業化してしまっています。激しい恥辱はクリックされ広告収入アップに繋がります。人々はそんな恥辱のゴシップを見れば見るほど同情心が薄れさらに閲覧を続けてしまいます。さらに悪いのは流行はやがて容認に繋がっていくということです。

恥は共感に勝てない

ネットいじめやハッキングなどの増加を食い止めるには意識を変えることが必要です。いまでは人種差別、ゲイ差別などへの人々の意識が変わってます。同性婚が認められるようにもなりました。またエコ意識にも変化が起きています。

同じように意識を変えてネットに思いやりと共感を取り戻すことが大切です。研究者のB・ブラウンは「恥は共感には勝てない」と言っています。ひとりの共感でも効果があることはルインスキーさん自身がよくわかっています。

社会心理学者S・モスコヴィッシによると少数派でも一貫して主張し続けることで変化を起こせるといいます。いじめをみたら報告、そしていじめ防止団体を支援しましょう。表現の自由とその責任を自覚し、本性が出やすいネットでは共感を示すことが重要です。




posted by CYL at 15:08 | スーパープレゼンテーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。