2015年05月22日

「ワールドビジネスサテライト」食の万博「ミラノ万博」で見るスローフード


ワールドビジネスサテライト
食の万博「ミラノ万博」で見る
スローフードの今



現在イタリアのミラノで開催されているミラノ万博のテーマは「食」です。食は万国共通のテーマですが、意外にも食をテーマとした万博は初めてなのです。万博には世界140を超える国と地域が参加し、各国のパビリオンが並んでいます。10月末までの半年間で2000万人を超える人が訪れる予定です。盛り上がるミラノ万博を大江キャスターが取材しました。


スローフード館

世界の名物料理が集結する中で注目はフローフード館です。イタリアは、スローフード発祥の地として知られています。世界150カ国に100万人以上の支持者がいるスローフード協会は1987年に設立されました。設立以来、スローフードのシンボルマークとなっているのがカタツムリです。パビリオンは大きなカタツムリのマークが目印となっています。

スローフードの提唱者はカルロ・ペトリーニさんという方です。1980年代前半にはじまったスローフードの動きは、マクドナルドのイタリア出店への反対が発端でした。スローフード館の代表のバーデスさんは「食や味覚への教育が欠けている。多様性に富んだ食生活や食文化が大切だと思います。」と語ります。

スローフード館を案内してくれたのは、日本人でイタリアを拠点にスローフードを広める活動を進めているベンチャー企業の代表を務めるGEN社長 斎藤さんです。

スローフード館では野菜の栽培は無農薬、少量多品種生産が持続可能な農業につながると実際に野菜畑にマリーゴールドを植えると殺虫剤を使わずに栽培ができることを示しています。また、大量生産で製造されたものではなく小規模農家がつくったチーズを試食し”食べて学ぶ”こともできます。チーズひとつをとっても見た目、味わい、作り方、地域と多種多様なものがあります。

またパネルの展示ではまるで工業製品のように食肉として育成される鶏がありました。成長促進剤を打たれ、歩くこともままならないほど急速に太らされているのです。そんな普段知ることのない実態を学ぶことができます。

皮肉なことにスローフード館と目と鼻の先にはマクドナルドがあり多くのお客さんで賑わう光景がありました。



アメリカ館「アメリンフード2.0」

マクドナルドやコカコーラが生まれたファストフード大国のアメリカのパビリオンに入ると、迎えてくれるのはオバマ大統領の動画パネルでした。映像の中のオバマ大統領が訴えるのは、2050年には90億人分の食料の確保です。そのために必要なのが農作物の改良で、鍵を握るのは遺伝子組換え作物だといいます。アメリカ館「アメリンフード2.0」は将来の食のあり方を提唱しています。遺伝子組換え技術は世界の食料にとって重要だとしています。


スローフード協会本部

ミラノから車で2時間ほどの場所に位置するピエモンテ州は、高級赤ワインのバローロの生産地として知られています。石畳の静かな街を歩いて向かったのは、スローフード協会の本部です。そこで事務局長のクローチェ氏に話を伺いました。

クローチェ氏は、スローフードの一番の核となることを語ってくれました。「私たちの体は食べたものでできているとの考え方が根底にあります。携帯電話や車ではなく食を中心とする考え方なのです。」食べるという行為にもっと真剣に向き合うべきだというのがポイントのようでした。


世界で唯一の食の大学

またスローフード協会本部が置かれる街には2004年に新設された世界で唯一の食について学ぶ「食科学大学」があります。アメリカからの留学生は、「高校生のときマクドナルドをよく食べていたが、大学入学以来マクドナルドを食べていない。食べるものを考えるようになった」と語ります。

大学では食に関する様々な授業が行われます。大学の特徴は、料理を学ぶわけではなく発酵技術など世界各地の食の知恵を学ぶことです。食の大学とあって学食では、世界トップのシェフが腕を振るい、生徒は学食で本物の味を味わいながら自らの舌で多くを学ぶことができます。

和食をスローフードに

ミラノでスローフード館を案内してくれた斎藤さんの姿が、食科学大学にありました。和食をスローフードとして広めようというのです。実は斎藤さんは食科学大学の大学院の卒業生で、食科学大学を拠点とする産学連携のベンチャー起業を立ち上げたのです。

今年の3月には外国人のジャーナリストを対象に日本のスローフードツアーを開催し、三重県で伝統的なみそ作りの体験会を行いました。大学で生徒に振舞ったみそも三重県のみそでした。世界中からやってきた生徒たちにみその味を知ってもらい母国でみそを広めてもらいたいと考えていました。

スローフードハンバーガー?

ミラノには斎藤さんの会社が支援するハンバーガーショップ「Melcato del duomo」があります。産地証明付きの肉でつくったパテに、店内で焼いたパンを使用してハンバーガーとして提供します。飲み物は、スローフードのコーラと呼ばれるキノットという木の実を潰してつくった炭酸飲料です

スローフードの概念が入ったファストフードは、スローフードを世界に発信するためのひとつの形だと斎藤さんは語ります。



My Opinion
スローフードのエッセンスとは

今夏のレポートでわかったのはスローフードとは一体何かということでした。それはスローフード協会の事務局長のクローチェさんの言葉に凝縮されていました。「私たちの体は食べたものでできているとの考え方が根底にあります。携帯電話や車ではなく食を中心とする考え方なのです。」スローフードというネーミングはファストフードの対局にあるという考えから名付けられたものであるというだけで、早いとかゆっくりということはスローフードのエッセンスではないのです。その証拠に斎藤さんが支援するのはハンバーガーショップです。ハンバーガーであろうともそこにスローフードのエッセンスである”私たちの体は食べたものからできている”という考え入っていればよいのです。

いま私たちの考えの中心は一体なんでしょうか?それには個人差があると思いますが、多くの人にとっては少なくともスローフード協会のクローチェさんが提唱する”食”ではないはずです。忙しければ外食やコンビニのお弁当ですませてしまったり、美味しいからといって偏食をしたり、私たちはもっと食べるという行為にもっと真剣に向き合うべきなのかもしれません。




スポンサードリンク



posted by CYL at 16:50 | ワールドビジネスサテライト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。