2015年05月12日

「NHKスペシャル」生命大躍進第1集 そして”目”が生まれた

NHKスペシャル 生命大躍進

いままで生命の進化は、少しづつ変化しながら進化してきたと長らく考えられてきました。しかし、それだけでは説明できない事象が存在していました。その謎を解き明かす鍵は私たちの姿形を定める情報であるDNAにありました。DNAの激変が進化の大ジャンプを引き起こしていたのです。

第1集(全3集)
そして”目”が生まれた


いのちの樹
40億年の命の進化は、1つの細胞からはじまりました。植物と動物に分かれ、さらに動物が枝分かれてして現在の人間が誕生しました。

進化の謎
目はいつどうやってできたのか?それは、徐々に起きた変化ではなくいまから約5億年前に突然起こりました。

化石発見
カナダの西部のロッキー山脈で、最初に地球で目をもった生き物の化石が発見されました。発見者はロイヤル・オンタリオ博物館のジャン・ベルナール・キャロン博士です。3年前に起きた山火事でむき出しになった5億年以上前のカンブリア紀の地層から目をもった生物の化石が次々と発見されたのです。

目の優劣が生死を分けた
カンブリア紀と呼ばれる5億年前の地球には、奇妙な形をした生き物が海の中で暮らしていました。いままで微生物だった生物は、カンブリア紀に大型で複雑なものへと変化していました。

カンブリア紀の王者はアノマロカリスでした。アノマロカリスは、カンブリア紀最大の生物で、トンボの目のような小さな目が集まった複眼をもつ、体長50cm以上の肉食動物です。

一度に360度見える複眼をもち、周りをみて獲物を捕らえることができたいました。3cmほどの小さな動物のアラルコメネウスのひょうたん型の目は上下がよく見るが背後が見えないという弱点がありました。カンブリア紀の生物にとって、目は優劣が生死を分ける大大きな要素となっていました。そのため多種多様な目をもつ生物が存在していました。

<植物のDNAが動物に>
最初の目を持ったと考えられたのは、クラゲのような原始的な生き物でした。生命の設計図であるDNA研究の権威であるウォルター・ゲーリングさんと五條堀 孝さん(アブドラ国王科学技術大学教授)は、クラゲの傘の傘の内側にある小さな目を調べれば、目の起源についてわかるはずだと考えました。

クラゲの目は、三日月型の黒い部分で明暗を感じます。クラゲの目と同じ特徴をもつ生物がいます。それは日本に生息するウズベンモウソウ(渦鞭毛草)です。ウズベンモウソウは、体の中にある葉緑体で光合成をする森の木々と同じ植物の仲間なのです。黒い三日月型の部分で光を感知しています。それは光合成の効率を上げるための何億年をかけて進化させた光センサーです。


ウズベンモウソウの黒い三日月はクラゲと同じものなのか、DNAで調べてみると極めて重要な遺伝子であるロドプシン遺伝子が見つかりました。ロドプシン遺伝子は、複雑な形のタンパク質を作り出す遺伝子で、動物の目のタンパク質と一緒であることがわかったのです。

常識を覆す仮説
植物の遺伝子が動物に移ったことが、動物が目を持てた理由であるという仮説を立てました。DNAが、種の壁を超えるといういままでの常識を覆す仮説でした。

仮説を実証する実例
ボストン近郊の浅瀬に住む4cmほどの動物、ウミウシの一種は、餌を食べなくても光を浴びるだけで生きることができます。動物でありながら葉緑体をもっていて光合成ができるのです。

ウミウシのDNAを調べたところ、海草の遺伝子が見つかったのです。つまり、ウミウシは海草の遺伝子組み込んで光合成ができるようになったのです。

進化の大ジャンプ
他の生物がつくったものを自分がもらえるとしたら、いままでのように長い時間をかけてつくらなくてもよくなりました。このことが生物としては大きな変化、躍進につながったのです。

どうやって植物からDNAが動物に
先カンブリア紀、クラゲのような生き物にまだ目はありませんでした。ロドプシン遺伝子をもつ植物プランクトンが周りにたくさんいます。ある日、植物プランクトンが原始生物の生殖細胞の中に偶然入り込みます。そこで植物のDNAが撒き散らされました。その中には、ロドプシン遺伝子があり動物のDNAと結合し、動物は光センサーの遺伝子を手に入れたのです。私たちの祖先の身体に大躍進の進化がもたらされた瞬間です。


<原始的な目からカメラ眼に>
明るい暗いの原始的な目を手にいれた動物は、節足動物と背骨をもつ脊椎動物に分かれます。カンブリア紀(5億500万年前)私たちの祖先が目をもったすぐ後の世界です。私たちの祖先、脊椎動物のはじまりは紐のような形をしたピカイアという、わずか3cmほどの小さな動物です。クラゲの目と同じ、明るい暗いのみ 原始的な目をもったピカイアは、節足動物に怯えながら生きていました。

3億6000万年前、脊椎動物は劇的に姿を変えていました。脊椎動物は王者ダンクルオステウスは、進化の末、巨大化し直径10cmのおおきな目、体長は最大10mになります。一方の節足動物の末裔はウミサソリ。こちらも体長は2mを超えて大きなハサミをもっています。

大逆転
節足動物に怯えて暮らしていた脊椎動物は目の進化によって大逆転を果たしていました。
人間と同じ”カメラ眼”へと進化していたのです。カメラ眼は、大きなレンズで光を集め、奥には解像度の高いスクリーンである網膜で像を結ぶことでものの姿形を捕らえることができます。カメラ眼のおかげで視力は高く遠くから敵の姿と動きをよく見ることができるようになっていました。一方の節足動物は、複眼のままでぼんやりとしか見えていないままでした。

どのようにカメラ眼に
フロリダの海に住む脊椎動物の祖先ピカイアの生き残こりと言われる生物がナメクジウオです。光をあてると反応し、小さな黒い点は明暗だけを感知する原始的な目をもっています。

原始的な眼の代表のナメクジウオとカメラ眼の代表の人のDNA情報を比べてみたところ、ナメクジウオには1つしかない遺伝子が人では4つに増えていることがわかりました。

体の基本構造をつくるHOX13遺伝子は、ナメクジウオには1つ、人間には4つありました。また、目を形作るときに重要なEYA遺伝子は、ナメクジウオには1つ、人では4つ見つかりました。かつて持っている遺伝子が丸ごと4倍にふえる大きな出来事があったのです。

遺伝子が4倍に
遺伝子はいわば新しい器官をつくる道具です。遺伝子が多いほど複雑で精巧な器官をつくることができます。精巧で複雑な器官の代表がカメラ眼です。カメラ眼には1800種類以上
の遺伝子が使われており、それらすべて遺伝子が4倍に増えたあとにできた遺伝子であることがわかっています。

どんなふうに4倍になったのか
カンブリア紀のはじめ、卵に精子をかけて繁殖が行われていました。通常は、父親の遺伝子を半部もつ精子と母親の遺伝子を半分もった卵子が受精卵となるのですが、丸ごともつ精子と卵子が出会って熟成し、親の2倍の遺伝子をもつ受精卵ができたのです。普通なら余分な遺伝子が邪魔をするため子供は誕生しないのですが無事に誕生したのです。

さらに同じ奇跡が再び起こり4倍のDNAをもつ子供が誕生したのです。遺伝子が増えたことで、顎やヒレ、カメラ眼など新しい器官をつくることができるようになりました。

2つの偶然の産物
私たちの眼は、植物から動物へとDNAが移行した奇跡と遺伝子が4倍になるといういわば2つの奇跡よってもたらされた賜物です。


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posted by CYL at 17:02 | NHKスペシャル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする