2015年04月21日

未来世紀ジパング 池上彰解説 トマ・ピケティ「21世紀の資本」

未来世紀ジパング
池上彰解説 トマ・ピケティ「21世紀の資本」



広がる格差を止めるには


フランスの経済学者トマ・ピケティが書いた経済書「21世紀の資本」が世界でヒットしています。その内容は、”放っておくと格差は拡大する”というメッセージがデータをもとに示してあります。


トマ・ピケティさん(43)
パリ経済学校教授、経済学者でピケティさんの著書「21世紀の資本」は世界約40カ国で約160万部販売されています。


トリクルダウン(経済)
結婚式などで行われるシャンパンタワーを想像してください。ピラミッド状に組み上げられたシャンパングラスの一番上からシャンパンを注ぐと頂点から底辺へとシャンパンが流れていきます。

シャンパンをお金に、シャンパンタワーを上部から富裕層、中間層、低所得者層と考えてみてください。最初、富裕層に流れたお金はやがて低所得者層までまわってくるという考えを「トリクルダウン(経済)」といいます。トリクルダウンは滴り落ちるという意味です。

しかし、いまトリクルダウン経済に異変が起きていてその異変が格差社会の原因となっています。いままでは富裕層のグラスがいっぱいになればそれが溢れて中間層、低所得者層に滴り落ちていきましたが、富裕層がより大きなグラスへと買い換えることで富の集中が起こっているのです。つまり、資本主義社会では富めるものはますます富めるような仕組みになっているということです。


高額所得者1%が全体に占める割合
アメリカ社会の例ですが、1928年では、高額所得者1%がアメリカ社会全体の所得の19.6%を占めていました。その後、時代は流れ次第にその数値は下がり格差がなくなり1973年には7.7%になりました。しかし、数値はV字を描くように上昇し2013年には再び20%近くまでなっています。

第2次大戦後、アメリカの経済発展についてアメリカの経済学者クズネッツさんが調べたところ資本主義が発展するほど格差が縮まってくることを実証的なデータで示しました。レーガン政権(1981-89)では「クズネッツ理論」として資本主義を推進したのですが、ピケティさんは「クズネッツ理論」を使ってレーガン政権以降について調べてみるとなんと格差は拡大していることがわかったのです。


r(資本収益率) > g(経済成長率)

rはリターンの略で株、預貯金、不動産などから得られる利益を意味しています。一方、gはgrowth,成長率のことです。国民全体でがんばった成長率で給料などを意味します。rとgの伸び率を比較してみるとrは年平均で4から5%の伸び率なのに対して、gは年平均で1から2%の伸び率なのです。庶民の給料が上がらないわけです。

世界の長者番付のトップ10の中で注目したいのは8位のクリスティ・ウォルトンさんと10位のリリアンヌ・ベタンクールさんです。クリスティ・ウォルトンさんはアメリカの大手スーパーマーケットのウォルマートの創業者の次男の奥さんです。リリアンヌ・ベタンクールさんはフランスのロレアル創業者の娘さんです。2人の共通点は莫大な資産を受け継いだということです。r(資本収益率) > g(経済成長率)に元づけば彼女たちの資産は年々増えていくということを意味します。

つまり、「富めるひとはますます富み、格差が拡大していく」とピケティは著書で警鐘を鳴らしているのです。


日本社会の問題
低所得者が増えている

世帯あたりの平均収入が1994年には約650万円だった数値がどんどん下がり2012年には300万円以下の世帯の割合が32.7%になっています。

低所得の要因
年金収入だけの高齢者の増加
非正規労働者の増加

ピケティさんの提言
富の再分配


若い世代を優遇する税制
特に資産がなく所得も少ない若い世代を優遇しなければならない。

資産家への累進課税
お金持ちから税金をとって若い人への教育費などに使う。


続きを読む 世界の格差(韓国、米国、中国)




posted by CYL at 11:28 | 未来世紀ジパング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする